首都圏企業2年連続「転出超過」へ

企業の「脱首都圏」が続く。2022年1-6月間に判明した、首都圏から地方へ本社を移転した企業数は168社に上った。昨年に続き2年連続で150社を超え、企業本社の首都圏外への転出の動きが加速している。このペースが続いた場合、首都圏外への企業移転は2001-02年以来20年ぶりに2年連続で300社を超える見込みのほか、1990年以降、昨年に次ぐ2番目の高水準となる可能性もある。

 他方、同期間における地方から首都圏への転入企業は124社にとどまり、過去10年で最少となった。コロナ禍で企業移転の動きが全面的にストップした2020年1-6月の水準(125社)を下回っており、企業の首都圏流入の動きは停滞化の兆しがある。

 この結果、2022年1-6月における首都圏への本社移転動向は、転出企業が転入企業を44社上回る「転出超過」となったほか、前年同時期(14社)に比べて大幅に増加した。このペースで推移した場合、22年通年の転出超過社数は70社を超える可能性が高い。この水準は、2001年(転出超過:92社)以来20年ぶりの水準となる。

これまで、首都圏から地方への拠点分散化が進んだ時期はバブル崩壊後の1990年代や2008年のリーマン・ショック後など、経済環境が悪化した時期に重なっている。近時も、コロナ禍で多くの企業が売り上げを減らすなか、オフィス賃料が安い地方に移転することで経営立て直しを図るケースは多い。電気代の高騰などコスト増加要因が多いなか、経営コストを圧縮するため首都圏外へ退避する企業は今後も増加する可能性がある。

 他方、テレワークやウェブ会議が浸透しつつあるなかで、東京+αといった本社機能の複数拠点化や、社員の居住地制限の撤廃といった働き方の変化・定着により、企業における本社の在り方が見直されつつある。こうした「前向き」な本社移転ニーズの拡大により、企業における「脱首都圏」の流れが定着するかどうかが注目される。

最終更新日:9/30(金)13:30 帝国データバンク

引用:https://news.yahoo.co.jp/pickup/6440268

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