ローカル線減便に住民 どう乗れと

JR西日本が中国地方のローカル線の合理化に関するデータを明らかにした。35年前の国鉄の分割民営化でJR西が発足して以降、減便が続き、無人駅が増加。沿線自治体からは「そこまでやるのか」という声も聞かれる。使い勝手が悪くなり、さらなる鉄道離れを招く悪循環が鮮明になっている。



 運行本数の減少率が最も高いのは、広島県庄原市を通る芸備線東城―備後落合間。JR西が発足した1987年度には上下各8本の計16本が走っていたが、2019年度には上下各3本の計6本に減っている。1キロ当たりの1日平均乗客数(輸送密度)も87年度の476人から19年度には11人に減少。JR西の管内でワースト区間になっている。

 「朝は始業時刻に適した便がなく、通学や通勤には使い勝手が悪い。住民に利用を呼びかけても『このダイヤでどうやって乗れというんだ』と言われる」と、芸備線を担当する市いちばんづくり課の足羽幸宏課長。「1時間に1本という最低限必要なラインに遠く及ばない。JRから『生活利用が伸びていない』と指摘されるが、このダイヤでは伸ばしようがない」とこぼす。3月にダイヤの改善をJR西に要望したが、「実現は難しい」との回答だったという。

 無人駅は87~19年度に少なくとも9区間で増加。全駅の9割近くに及ぶ。その後も無人化の動きは続き、21年度は、観光都市・萩市の玄関口である山陰線の東萩駅(萩市)が9月に無人駅に。市はJR西から簡易委託を受け、補正予算を組んで切符売り場の運営を始めた。他にも山口線の津和野駅(島根県津和野町)や美祢線美祢駅(美祢市)など6駅が無人駅となった。

 津和野駅が無人駅になったのは21年12月。自動券売機は残ったが、買えるのは100キロ圏内の当日券に限られ新幹線の切符や定期券は買えなくなった。「山口駅で買ってください」と案内したが、苦情もあった。今年8月、萩市と同様に町が簡易委託を受け、窓口での切符販売を再開した。

 新幹線の切符も販売できるようになったが、指定席手配などに使うコンピューター端末は簡易型で、発券に20分かかることも。高機能の端末に替えるよう求めたが、JR西は応じなかった。町商工観光課の内谷元(はじめ)さんは「そこまでやるのかと思った」と振り返る。

 合理化に歯止めがかからないローカル線。JR西の広島支社は「民営化して一定期間は減便せずに頑張ったが、乗客が想定以上に減少したため、利用状況を勘案しながら運行本数を減らしてきた」と説明。「ローカル線の現状は厳しい。沿線自治体と対話し、地域の公共交通を維持するための方法を一緒に考えていきたい」としている。

最終更新日:9/21(水)12:57 中国新聞デジタル

引用:https://news.yahoo.co.jp/pickup/6439354

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