【東京】ホンダは電動二輪事業の株式上場を検討している。二輪車市場で世界首位のホンダが電動バイク分野への進出を加速する動きとなる。
ホンダは13日、2025年までに10車種以上の電動バイクを世界で発売し、30年までに年間350万台を販売する目標を発表した。電動バイクが販売台数に占める割合は現在の1%未満から15%に上昇することになる。
ホンダの常務執行役員、野村欣滋氏は電動二輪事業を別会社として切り離し、株式の一部を証券取引所に上場する案を検討していると述べた。検討はまだ初期段階で、上場のメリットとデメリットを考慮しているところだという。
野村氏は電動化を推進するような社内の変化への期待を表明。現在のところ、電動バイク分野への展開を強化するために外部から資金を調達する必要はないとの見解を示した。
二輪車はホンダの稼ぎ頭であり、利益率は四輪車を大きく上回る。部品不足が自動車販売への逆風となった4-6月期(第1四半期)に二輪車はホンダの営業利益のほぼ半分を占めた。
一方、インドなど二輪車の主要市場では、電動バイクの投入などでホンダは他社に後れを取っている。電気自動車(EV)の米テスラに既存の大手メーカーが市場シェアを奪われたように、ホンダも技術革新で後手に回るリスクがある。
ホンダのライバル、米大型バイクメーカーのハーレーダビッドソンは昨年12月、電動バイク部門「ライブワイヤー」を分離し、特別買収目的会社(SPAC)との合併を通じて株式を上場する計画を発表した。
ホンダは2030年時点で二輪車販売の85%は依然として非電動の車種になるとの見通しを示しており、四輪車と比べて緩やかなシフトとなる。
EVを四輪車の主流へと押し上げる上で直面する課題は、二輪車の場合はさらに大きいとの見方をホンダの野村氏は示した。車体が小さいため、長距離の走行に必要なサイズのバッテリーを搭載するのが難しく、価格が少し上がるだけで途上国の消費者には手が届かなくなる可能性があるという。
最終更新日:9/14(水)7:37 ウォール・ストリート・ジャーナル日本版