円安の影響が外食にも広がっています。回転寿司売上高2位の「くら寿司」は来月から創業以来初の価格の全面改定に踏み切る方針を明らかにしました。一方で「くら寿司」を追いかける「かっぱ寿司」は逆に低価格帯の寿司を拡充します。回転ずし業界に起きている異変を取材しました。
「創業以来の大改革となる価格の全面改定を行う」(くら寿司の田中邦彦社長)
くら寿司は7日、110円の商品約50種類を10月から5円値上げし、115円にすることを発表しました。創業以来38年間守り続けていた税抜価格1皿100円。そのこだわりを捨てざるを得なかった最大の要因が円安です。田中社長は「終わりの見えないコスト高騰は企業努力では乗り切れないと判断した」としています。
くら寿司は原材料の6~7割を輸入しているため、急激な円安が直撃しているのです。この2年でマグロの仕入れ価格は約1.6倍、サーモンは約2倍になりました。こうした人気の高い商品を輸入していることが、大幅なコスト高につながったといいます。
田中社長は今回の値上げについて「サービス業の原点は1人でも多くのお客様に安く食べてほしい。かたくなに何度も荒波に遭いながら頑張ってきたが、このたびはどうしようもなかった。円安があるから海外で競り負ける」と語ります。
ただ今後は輸入の割合を減らし、国内調達へのシフトを進めていくといいます。
「ハマチはほとんど養殖だが、ハマチ・タイ以外はほとんど養殖がない。2~3割は国内の養殖で補いたい」(く田中社長)
今回、110円の寿司を値上げする一方、220円の商品を55円値下げし165円にすることも発表したくら寿司。コスト削減を進めるため、この秋には食品廃棄率3%を実現しているという独自システムをさらに強化するとしています。
「逆境の時こそ投資する。新規出店、システム改修、工場に投資している。無駄を省いたシステムが完成しつつある」(くら寿司の田中邦彦社長)
回転ずしチェーンでは「はま寿司」が6月に平日1皿90円(税抜き)の提供を終了したほか、「スシロー」も9月いっぱいでいわゆる100円ずし(税込み110円)を終了し、10月から税込み120円(税込み)にすることを発表しています。
各社が100円ずしからの脱却を余儀なくされる中、逆に100円ずしを拡大する店があります。全国に307店舗を展開する「かっぱ寿司」です。
「100円回転ずしという原点に立ち返って、一人でも多くのお客様に、新しくなったかっぱ寿司を堪能いただき、かっぱ寿司のファンになっていただく」(カッパ・クリエイトの久保田令取締役)
これまで定番のマグロやサーモンなどで構成されていた100円ずしのラインナップに、14日から浜焼き風玉子や卵黄ネギトロ軍艦など30商品を新たに追加。100円ずしは全部で84商品になります(西日本は83商品)。
値上げを行わずに低価格の商品を増やすかっぱ寿司。円安などによるコスト上昇分をどう補っていくのでしょうか。
「円安や物流高による原材料の高騰の影響は受けている。100円ずしだけでなく、200円、300円、そしてサイドメニュー、さまざまな商品を取りそろえている。100円ずしだけではなく、全体を見ることでうまくコントロールしている」(久保田取締役)
※ワールドビジネスサテライト
最終更新日:9/11(日)11:52 テレ東BIZ