指定席の販売開始からわずか10秒で完売した、23日開業の西九州新幹線(武雄温泉-長崎)の一番列車。インターネットや駅の窓口ではプラチナチケットを巡る争奪戦が繰り広げられたが、西日本新聞「あなたの特命取材班」にこんな投稿が寄せられた。「事前に大量の団体枠が設けられていたようだ」。JR九州に取材すると、下りの一番列車「かもめ1号」で、指定席158席の約3分の1が旅行会社向けに割り当てられていた。
同社はあらかじめ団体枠を決め、旅行会社からの受け付けを4月に開始。5月以降に各社の席数が決まったという。上りの「かもめ2号」でも約1割を旅行会社が確保した。
投稿者の男性=福岡市=は販売された8月23日、駅の窓口に並んだが購入できなかった。男性は「一番列車など特別な運行で、旅行会社への割り当ては聞いたことがない。それを知らない人が窓口に並ぶのはおかしくないか」と訴える。
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西九州新幹線の一番列車は、複数の旅行会社が団体枠とみられる乗車券を組み入れた商品を販売していた。あるツアーは1泊2日の朝昼食付きで10万円、日帰りで約4万円だった。西九州新幹線の初日便と特急のラストランを組み合わせた商品もあった。武雄温泉-長崎の指定席の乗車料金は片道3600円。つまり、一番列車には数万円分の“付加価値”があるといえる。
そもそも、指定席の販売方法は、(1)みどりの窓口で駅員が専用端末を操作(2)発売1週間前から受け付けた事前予約をコンピューターが処理(3)利用者が当日にインターネットで購入-の主に3通りあるという。
最終更新日:9/8(木)15:55 西日本新聞