2年前の佃煮混ぜ販売 行政指導

創業241年の老舗つくだ煮店「神宗(かんそう)」(大阪市中央区)が、2年前に製造した「塩昆布」と「ちりめん山椒(さんしょう)」を新たな原材料と混ぜて調理し直し、販売していたことが判明した。新型コロナウイルス禍で在庫が増え、同社が定める出荷期限を過ぎたものを再利用していた。大阪市保健所は8月、「使用期限の科学的・合理的根拠が不十分な製品を原材料の一部として使用した」として行政指導した。



 同社は毎日新聞の取材に「社内規定に基づく使用期限内の製品を使っているので品質や安全性に問題はない」としているが、既に対象商品を店頭から撤去。「今後、管理体制の徹底に努める」としている。

 同社によると、塩昆布は2020年1~2月に製造し、常温や冷凍で保管。21年1月~22年4月、新たな原材料と混ぜて再調理し、約11万袋を百貨店などに出荷した。同様に、ちりめん山椒は20年1~9月に製造したものを、20年11月~22年6月に再調理し、約49万袋を出荷した。

 食品表示法などによると、製造業者らは品質が劣化しやすい食品には「消費期限」、劣化しにくい食品には「賞味期限」を表示するよう義務付けられている。

 同社は賞味期限を「出荷から75日間」として商品に表示しているが、出荷前の製品については社内規定で運用を決めていた。

 同社によると、商品としての出荷期限は常温で塩昆布が製造から240日、ちりめん山椒は210日と規定。一方、原材料として再利用する場合は、常温で塩昆布が製造から365日、ちりめん山椒は265日と定めていた。これを超えると冷凍で保管し、更に2年間は原材料として再利用できる運用だった。

 今回、再利用したものは最長で製造から約2年経過していた。同社は常温での使用期限は微生物検査などで安全性を確認していたが、冷凍での期限は経験に基づくもので、データの裏付けがなかった。

 従業員の内部告発を受け、市保健所は22年7月下旬、工場などに立ち入り調査を実施。8月、科学的・合理的根拠のある使用期限内の製品を使用することや、保管製品を原材料に混ぜる場合は使用直前に検査することなどを指導した。

 同社によると、1回の工程で混ぜた保管製品の割合は塩昆布が約5%、ちりめん山椒は約3%。新型コロナの影響で百貨店などが休業し、在庫が増えたため工場長が指示し、小山鐘平社長にも報告したという。

 小山社長は取材に「2年も前の製品だとは知らなかった。違法なことはしていないが、冷凍期間のデータが不十分などの指摘は真摯(しんし)に受け止める」と話している。

 神宗は1781(天明元)年創業で、全国の百貨店などに出店している。【森口沙織】

最終更新日:9/7(水)23:51 毎日新聞

引用:https://news.yahoo.co.jp/pickup/6438005

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