8月2~7日、青森ねぶた祭が3年ぶりに開催された。新型コロナウイルスが流行して以降2年連続で中止を余儀なくされていたが、感染予防対策を徹底し、無事会期を終了した。今年の青森ねぶたは、Withコロナでの新しい祭りの在り方を確立しただけでなく、「1組100万円のプレミアム観覧席」という今までにはなかった取り組みにも挑戦した。
1組100万円のプレミアム観覧席、どんな人が購入したのだろうか。青森県庁と協業してプレミアム観覧席の企画・運営を行ったオマツリジャパン(東京都練馬区)の加藤優子代表に話を聞いた。
プレミアム観覧席は公式Webサイトで販売。口コミで存在を知り、申し込んだ人もいるという。7月11日に販売し、20万円席4組、100万円席2組、総額280万円分が約2日で完売する人気ぶりを見せた。購入者は会社経営者などの実業家が多かったという。友人同士や夫婦、カップルでの利用が見られた。
「ご購入いただいた方には、『ねぶた師の解説』『待ち時間がない快適さ』が評価されたと感じています。特に、ねぶた祭りは来場者が多くごちゃごちゃしているため、待ち時間がなく、落ち着いて快適に観覧できることは高く評価されました」(加藤代表)
実際の購入者の感想はどうなのだろうか。100万円席を購入し、東京から祭りに赴いた40代男性は、「ねぶた祭はテレビや新聞で見たことがあったものの、本物は全く違い、感動した。100万円は高いという人もいるかもしれないが、人生一度きり。この席であれば祭りを最大限楽しめると思った。これからの祭りはお金を取れるところからしっかりとって、祭りに還元していくのが大切だと感じた」と話す。
他にも、「3年ぶりのねぶた祭で、かつ売り上げも寄付ということなので、自分たちが楽しめるだけでなく地元のためにもなるということで利用した。青森ねぶた祭だけではなく、こういった取り組みが色んな祭りで当たり前になり、各地方の活性化につながればいいなと思う」(青森、50代男性、20万円席)、「最優秀制作者賞をとったねぶた師さんの声を直接聞くことができてよかった。一生の思い出になると思う」(青森、50代男性、20万円席)などの意見が挙がった。
青森ねぶたでは実証実験として、プレミアム観覧席を2日間に限定して提供した。席の種類も100万円と20万円の2種類で、座席数もかなり少数に限定している。加藤代表は、「今後は『10万円の席を100席用意』『1万円席や5万円席の導入』なども考えられる。そして、多くの利用者に価値を感じてもらい、購入してもらえるように価格や内容を精査し、バリエーションを増やしていく」と意気込む。
「このプレミアム観覧席の取り組みは、日本で1番有名とされている青森ねぶた祭で実施し、成功したことに大きな意味があります。日本でも有数の大型祭りである青森ねぶた祭りで成功したのであれば、自分たちもやってみようというムーブメントが起きるかもしれません。ねぶた祭りの成功事例を紹介しながら、今後他の祭りでも展開していく予定です」(加藤代表)
最終更新日:8/17(水)8:30 ITmedia ビジネスオンライン