不格好? なぜ女性服ポケットない

同じ価格なのに女性のジャケットには胸ポケットと内ポケットがついていない――そんなツイートから広まった「女性服のポケット問題」。男性服ほど機能的ではない女性服に対するリアルな声がSNS上に集まった。

このバズをきっかけに、多くの女性が「女性服にもっと機能性・実用性がほしい」と声をあげ始めた。そしてブランドやデザイナーもその声を掬い上げている。ブランド「ミカゲ シン(MIKAGE SHIN)」を手掛けるデザイナーの進 美影も、Twitterでそんな声に反応した一人だ。

 進は「女性の味方でありたい」という思いを軸に、初期のコレクションから、ワンピースやスカートにもできるだけポケットをつけるようにしていたという。2022年プレ春夏コレクションで発表したFLOWER BULB BICOLOR SHIRT DRESS(56,100円)も、ボタン付きで深さのあるポケットがつけられている。

 ポケットに関するブランドのポリシーについて説明した投稿の反響を問い合わせると、「ブランドの認知が急激に高まった」という。また、進はツイッターアンケートも行っており「ウィメンズの服のポケットには、何を入れていますか?」と尋ねたところ、75%以上の回答が「スマホ」。アンケートからは「席を一瞬離れるときにスマホをなくさないように入れておきたい」「家を出る時に一瞬だけ鍵をしまえるポケットが欲しい」......そんな現代の日常生活において服に求めていることが読み取れる。

 「女性のポケット需要は"テンポラリー利用"のケースも多いということがわかりました。男性のように、一日中手ぶらでポケット一つで出かけるという慣習はあまり多くないかもしれないけれど、ちょっとした時に、服がその日常に寄り添えたら純粋に素敵だなと思います」。

 ポケットひとつでもその分の工賃が上がり、商品の上代に反映されることでコストバランスは難しくなる。だが「個人的にはやはり、自分が嫌なものを人に薦めたくありません。NYでも東京でも『実はサイドにポケットがついているんです』と説明した時に、喜ばなかったバイヤー様や顧客の方は一人もいませんでした」。ミカゲ シンでは今後も、できる限りポケットをつけていくという。

また、ビジネス・カジュアルウェアなどを扱うユナイテッドアローズ(UNITED ARROWS)の「グリーンレーベル リラクシング(green label relaxing)」は、公式ツイッターでポケット問題に言及。「ポケットがなくて買うことを諦めたアイテム」を尋ねたアンケートでは、僅差でスカートが1位、ワンピースが2位となった。

 この投稿には、ポケットが浅くてスマートフォンをトイレに落としてしまった体験談や、仕事中はポケットにペンやメモ帳を入れたいという声も寄せられている。同レーベルはこれらの視点を参考に、進行中の商品は確認・対応、そして販売中の商品は、ポケットについて分かりやすく表現する準備を進めているという。

 公式サイト内ではすでに、ポケットのサイズ感を詳しく説明したブログを公開。「iPhone 13 Proがすっぽり入る」ポケットを配したワイドパンツ(1万2100円)のセットアップや、スマートフォン・名刺入れ・ペン・リップ・イヤフォンなど実際にポケットに入れた際の着用画像などが紹介された。これは同レーベルのチームが早急に撮影したもので、今回の「ポケット問題」の課題を反映した分かりやすい商品紹介となっている。

最終更新日:8/10(水)15:03 FASHIONSNAP.COM

引用:https://news.yahoo.co.jp/pickup/6435270

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