今シーズン最強の寒気による大雪に、スキー場関係者からさまざまな声が上がっている。雪不足にあえいできたゲレンデは、銀世界の広がりに利用客の増加を期待。一方で宿泊業者は観光支援事業「Go To トラベル」が停止される年末を前にキャンセルが相次ぎ、頭を抱えている。
関越道で最大約2100台にも及ぶ自動車の立ち往生が発生するなどの混乱を呼んだ大雪が、スキー場にとっては“恵みの雪”となるかもしれない。
群馬県沼田市「たんばらスキーパーク」の竹内健二総支配人は「この大雪で、ようやく全面滑走が可能になった」と前向きに話した。今季初めは「雪不足と言われてきた近年でも一番少なかった」という。今回の大雪は降り過ぎて、スキー場までの一般道の走行が危険な17日は閉園したが「降雪が落ち着けば、利用者も増えてくれる。うちは日帰り客が多く、Go To停止もほとんど影響ない」と話した。
新潟県湯沢町「GALA湯沢スノーリゾート」は、大雪を受けて16日から営業開始。関越道の湯沢インターなどに近く、立ち往生の影響が出た可能性もあるが、担当者は「この降雪があったから開場できた」と感謝した。
業界では、新型コロナウイルスの感染リスクが低い屋外レジャーとして関心の高まりを期待してきた。消毒や換気など、ゴンドラや飲食スペースの過密対策をPRし、利用客の誘致に力を入れてきたが、ここまでは雪が降らず苦しいシーズンだった。感染拡大で例年より利用客が少ないのは否めないがゲレンデ関係者からは「十分に感染対策していると分かってもらえたら、何とかやっていけそう」との声が上がった。
一方で、スキー客らの宿泊に期待する温泉街やホテル関係者は“嘆きの冬”の到来を危惧する。GALA湯沢など複数のゲレンデに近い湯沢町・音羽屋旅館の女将は「きょう(19日)の予約は2割ほどになった」とがっくり。突然の大雪で、旅行を諦めた客が多いとみられる。トラベル事業が28日から来年1月11日まで全国で一時停止となり、スキー客らが日帰り旅行を選ぶ恐れもある。ただでさえ年末年始の予約キャンセルが相次ぐ中の大雪に「ダブルパンチです」と肩を落とした。
気象庁によると、20日にかけて再び冬型の気圧配置が強まり、北日本や東日本の日本海側で大雪となる恐れもある。日本列島はその後も「厳冬」が続く可能性がある。長野県白馬村で複数のホテルを経営する男性は「この上大雪でキャンセルが続けば、やっていけない」と窮状を訴えた。
最終更新日:12/20(日)12:06 スポニチアネックス