公立学校では非正規雇用の教員が増え続けている。その数は全国の公立学校で5~6人に1人に上る。教師という職業に、いったい何が起きているのか。
特集「『非正規化』する教師」の第7回は、非正規雇用の一形態であり、待遇面で最も厳しい非常勤講師にスポットを当てる(過去の記事はこちら)。
「日々の授業だけではとても食べていけません。だから教壇に立ちながら、日雇いのアルバイトをするなどして生活してきました」
近畿圏の高校で保健体育を教える村井真由美さん(40代、仮名)は、これまでの教師生活をこう振り返る。教師として働き始めて20年以上のベテランだが、学校の仕事だけでは生活が立ち行かないという。それは村井さんの勤務が「非常勤」だからだ。
苦しい生活が続く中で、10年ほど前に村井さんは教員を辞め、民間企業の契約社員となった。だが、数年前からは再び学校で働くこととなった。生徒たちとの心温まる瞬間を思い出し、ふと「戻りたい」と思ったのだという。
■生活保護を受ける非常勤講師も
村井さんは現在、3つの高校に勤務し、1日3~4コマの授業を受け持っている。担当する授業が連続していないため、いわゆる空き時間も発生するが、その間の報酬は一切発生しない。
■非常勤講師の収入が減っている
非常勤講師一人当たりの持ち時間も減少傾向にある。「ゆとりある教育を求め全国の教育条件を調べる会」(調べる会)の調査によると、2010年は2万263人だった小中学校の非常勤講師の実数が、2020年には2万8324人と、約1.4倍に増加している。
ところがその間、非常勤講師が受け持つ授業の総数は、ほとんど変わっていない。これはすなわち、非常勤講師一人当たりが担当できる授業数が減り、収入が減っていることを意味する。調べる会の調査によると、以前は常勤一人あたりの業務を3人程度で分割していたのが、現在は4人程度で分割するようになったという。
最終更新日:7/31(日)9:24 東洋経済オンライン