数年前から続く卵サンドの流行が、最近ますます盛り上がっている。
ゆで卵をつぶしてマヨネーズであえたおなじみの卵サンドもあれば、卵焼きを挟んだ和風テイスト、オムレツサンド、ベーコンやレタスなどと一緒に挟むなど、さまざまな卵サンドが人気を博している。日本生まれのものだけでなく、アメリカから上陸したサンドイッチも、最近では韓国ブランドの店もある。韓国でも卵サンドは流行中だ。
提供する店は、喫茶店やパン屋だけにとどまらず、卵料理専門店や卵サンド専門店まで登場し、流行は全国に広がっている。いったいなぜ、卵サンドの流行が過熱しているのだろうか。
1927年に大阪市で創業した同店は、希少な丹波の大納言小豆を使ったあんこのおいしさで知られていた。卵サンドを販売し始めたのは戦後。「初代の頃から、雑炊や雑煮を食事メニューとして出していたので、前日から漬けた昆布とカツオのだしを仕込んでいました。おにぎりと漬物、だし巻き卵の軽食も販売し、それとは別にミックスサンドも作っていました。そこから、だし巻き卵をサンドイッチにしたらどうかとアイデアが生まれ、試作段階では三つ葉やニンジンを入れたりもしたようです」(天野社長)。
一部の店では分厚い卵焼きやオムレツを挟んだサンドイッチが人気だったとはいえ、基本的に関西でも、そして全国的にも、日本の卵サンドは長らく、ゆで卵をつぶしてマヨネーズであえたものが主流だった。卵サンドについて最も古いと思われる記述の1つは、1909(明治42)年刊行の『弦齋夫人の料理談 第二編』で、ゆで卵を裏ごしして、バターと辛子と塩を加えて練ったレシピが紹介されている。
それがやがてゆで卵をつぶす簡略系が広がり、今やさまざまなバリエーションに広がっている。天野社長は「卵は、和食でもイタリアンでもフレンチでも中華でも、必ず登場するじゃないですか。フレンチのソースなど、『これが卵?』と思うほど変形させることもあるし、硬さもいろいろある。自由自在に変形させられる食材」であることが、人気の要因ではないかと話す。
最終更新日:7/28(木)15:48 東洋経済オンライン