「価格の優等生」値上げ 各党対策

1丁100円以下で店頭に並ぶことが多い豆腐。長年、消費者にとって手ごろな価格に抑えられ、卵やモヤシと同じく「価格の優等生」と呼ばれてきた。だが、原材料など価格高騰の波が、ここにも押し寄せる。

食用油、冷凍食品、カップ麺、スナック菓子、ビール――。すでに多くの食品は値上げラッシュとなっている。幅広く使われる小麦や植物油を含む原材料コストは、ウクライナ情勢を受けた世界的な需給逼迫(ひっぱく)や円安の影響で大きく上昇し、原油高で包装容器代や物流費のほか、電気代、ガス代も上がった。
 東京都内で年金暮らしの女性(75)は娘と高校2年、中学1年の孫と同居する。スーパーで食材を選びながら「生活はこれ以上切り詰めようがない。育ち盛りの孫に、体に良い物を食べさせたいのに」とため息をついた。
 政府は4月、原油高や物価上昇に対応するための「総合緊急対策」を決定し、計6・2兆円を計上した。原油高対策には総額の4分の1にあたる1・5兆円を充てた。今年1月に始めた石油元売り会社への補助金事業の拡充・延長が中心だ。ガソリンなどの小売価格を抑えることが目的で、支給上限額を1㍑あたり25円から35円に引き上げる手厚い支援となった。多額の財政支出を伴う事業にもかかわらず期限が明確でないことが問題視されている。
 民間シンクタンク「みずほリサーチ&テクノロジーズ」の酒井才介上席主任エコノミストは、原油高対策に一定の評価をした上で「これはあくまでも止血策だ。燃料の使用量を抑える省エネ政策などを推進することが重要だ」と述べた。原油価格の高止まりが続くとみられる中、対策をいつまでも継続すれば歳出は膨らむため、「出口戦略」が必要だと強調する。

各党は公約で、国民生活に直結する原油高や物価高への対策を前面に打ち出している。ガソリンなどの原油価格高騰対策に関して、自民党は元売り会社への補助金による激変緩和措置の継続を明記。これに対し立憲民主党などは、ガソリン税の引き下げや廃止を掲げる。
 自民、公明、国民民主の3党は今年3~4月、価格高騰時にガソリン税の上乗せ部分を一時的に減税する「トリガー条項」の凍結解除をめぐって協議したが、結論は先送りした。トリガー条項の凍結解除を強く求めた国民民主は、公約でも発動の必要性を強調する。立憲も同じくトリガー条項発動を訴え、日本維新の会は税率の上乗せ部分の廃止を主張する。NHK党は国民民主や維新が掲げる案について「積極的に協力していく」とし、れいわ新選組は「ガソリン税ゼロ」を掲げる。公明は「3党協議の論点を踏まえつつ、制度の見直しも含め、実効性ある原油価格高騰対策を引き続き検討する」と記載した。
 物価高に関して、自民は政府の総合緊急対策の「着実な実行」を掲げる。1兆円の地方創生臨時交付金による生活者や事業者への支援などを強化するとしている。公明は最低賃金を年率3%以上をめどに引き上げ、「企業の資金繰り支援に万全を期す」と訴える。
 野党は消費税の減税を掲げる点で一致している。立憲と国民民主は「時限的な5%への減税」、共産は「5%へ緊急減税」、維新は「軽減税率を段階的に3%に引き下げ。その後、消費税率を2年を目安に5%に引き下げ」と掲げる。社民党は「3年間ゼロ」、れいわは「消費税の廃止」、NHK党も「減税」を主張する。自民、公明両党は消費減税を否定している。
 野党の一部は、国民に直接現金を給付する政策も掲げる。【町野幸】

最終更新日:7/4(月)20:53 毎日新聞

引用:https://news.yahoo.co.jp/pickup/6431505

その他の新着トピック