―[あの企業の意外なミライ]―
エネルギー、仕入などの材料費、人件費の高騰でもなお、しまむらが強い理由の一つが、自社開発ブランド(PB)とサプライヤーとの共同開発ブランド(Joint Development Brand:JB)に力を入れているという点です。
しまむらのみでなく一般的にお店に並んでいる商品の大多数はメーカー製造のナショナルブランド(NB)です。
NBを商社や代理店から購入して販売しています。一方、PBは”自社開発”とあるように企画の段階から自社で実施します。PBの最大のメリットは自社で全てをまかなうことにより仕入れコストなどが発生せず安く販売できる点になります。PBはNB商品の2割~5割程度安い価格で売られていることが多いです。
では、JBの特徴はなんでしょうか。
JBは、ブランド開発の段階からそれぞれの関係部署が集まったディレクション会議を開くなど、ヒット商品を作るために商品・売場・販促が日夜連携している点が特徴です。そして、しまむらではNBよりも、低コストなPBとJBで売上を伸ばしています。
PB売上高は前年同期比 3.5%増、JB売上高は前年同期比 9.5%増。このように、しまむらは製造の段階から自社が采配を振るうことで円高・原価高騰の影響を最小に留め、そして売上も拡大させているのです。
世の中の相次ぐ商品値上げに対抗するように、今回賃上げに踏み切ったしまむら。好調の背景には商品開発の努力があったことがおわかりいただけたと思います。では最後に、なぜしまむらはここまで商品開発力があるのかを解説しましょう。
一口で言えば、しまむらは徹底的なデータドリブンの会社だからです。
しまむらは、過去の販売データを蓄積してヒット作品を生む確率を高める努力を惜しみません。仮に他社がただ額面通りに受け取り、デザインを模倣し、自社でPBやJBの割合を増やしたとしても、しまむらのように成功する可能性は高くないと筆者は考えます。しまむらの場合、これまでの歴史の中でPBやJBの商品開発を低コストに抑えるノウハウを自社で蓄積しているからです。
最終更新日:7/4(月)8:55 週刊SPA!