トイレ紙 ダブルとシングル別の紙

「イヌ派・ネコ派」「iPhone派・Android端末派」のような派閥を二つに分ける議論は、「トイレ」の中だけに限っても複数存在します。「洋式派・和式派」「洗浄機能付き便座を使う派・使わない派」などなど。トイレットペーパーの「シングル派・ダブル派」はどうでしょうか。個人的には断然「ダブル派」で、シングルの必要性を感じません。そもそもなぜ、トイレットペーパーにシングルとダブルの2種類が存在するのでしょうか? 「クリネックス」や「スコッティ」などを販売する、日本製紙クレシアに聞きました。



 シングルとダブルを両方販売している理由について、「どちらにも良いところがあり、それぞれに需要があるからです。厚さだけではなく、肌ざわりややわらかさなどが違うので、お使いになる方によって好みが分かれます」と話します。驚くことに、「そもそもシングルは1枚重ね、ダブルは2枚重ねですが、ダブルはシングルと同じ紙を2枚重ねているわけではありません」というのです。どういうことでしょうか。

 ダブルは、シングルよりも薄い紙を2枚重ねにしており、そうすることで紙と紙の間に空気の層が生まれ、ふんわりとした肌ざわりになるのだそう。さらに、紙には表と裏がありますが、なめらかな面がどちらも外側になるように重ねられています。そのため、使用感に差が生じるのです。

 長さについては、「トータルのメーター数は同じですが(例:『スコッティ フラワーパック1.5倍 長持ち8ロール』シングル75メートル、ダブル2枚重ね37.5メートル)、単純に巻きメーター数でいうとシングルの方が長いので、使い方によっては、シングルの方が長持ちする感覚をお持ちの方も多いと思います」といいます。

 つまり、シングルは1回で使用するメーター数が長く、しっかり拭きたい人向け、ダブルは使用するメーターが短く、やさしく拭きたい人向け、となるようです。また、意外だったのは「シングルの方が製造コストは高い」という話です。シングルは破れにくくする目的もあり、一枚一枚が厚くなっています。ダブルはふんわり感を出すために1枚のシートはシングルよりも薄くしており、パルプの量に若干差があるために、シングルの方がコスト高になるそうなのです。

 一方で売り上げは、日本製紙クレシアの場合、シングル4割・ダブル6割程度とのこと。需要に大きな差はないようです。

 日本製紙クレシアでは、シングルのトイレットペーパーを1963年に発売。その翌年の1964年にダブルのトイレットペーパーの販売を開始しました。

 両方の販売を続け、現在までに「プリント柄」「香り付き」「1.5倍・2倍・3倍巻き」「シャワートイレ用」など、時代やニーズに合わせたトイレットペーパーを数多く開発、販売してきました。「シングルか、ダブルか? 」この2種類が販売されている背景を踏まえた上で、改めてどちらを選ぶのか考えてみても良いかもしれません。

(取材・文=宮田智也 / 放送作家)

最終更新日:6/20(月)7:21 ラジトピ ラジオ関西トピックス

引用:https://news.yahoo.co.jp/pickup/6430047

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