パナ「価格指定」拡大 どよめく店

「こちらの商品は、メーカーとの関係でお値引きができないんです」。家電量販店の接客スタッフが発したその言葉に、都内に住む30代の男性は思わず耳を疑った。



 家電量販店での買い物の際、価格交渉をした経験のある人は多いのではないだろうか。この男性も、「周辺の量販店を何度も回り、いちばん安い価格を提示してきた店舗で購入するのが当たり前だった」と語る。

 ところが、そんな「当たり前」に変化が起きている。総合家電大手のパナソニックが、新たな取引形態の導入を進めているのだ。

そうした中、同ガイドラインも2010年代にたびたび改正されてきた。こうした流れを受けたメーカーの取り組みが、「今、新たに具体的な動きとして出てきた」(大橋教授)わけだ。

■品田社長は「三方よし」と強調

 ガイドラインの制定以前、メーカー側の力が非常に強かった時代もあった。流通史において有名なのが、1964年から30年にわたって続いた「ダイエー・松下戦争」だ。

 「価格破壊」で名を馳せた当時のダイエーは、松下電器産業(現パナソニック)の製品を2割引で販売しようとした。対する松下電器はダイエーへの商品出荷を停止。それにダイエーが反発し、独占禁止法に抵触するとして松下電器を裁判所に告訴するまでに至った。両者の取引が再開されたのは、1994年のことだった。

しかし、1年ごとの製品開発で大幅に機能を刷新するには限界もある。小さな機能変更が中心となってしまい、画期的な新製品は生まれにくい。それに対し新たな取引形態では、価格下落に対応する目的で新製品を投入する必要がなくなり、製品サイクルを2~3年に伸ばせることになる。

 パナソニックとしては開発に時間をかけられる分、より競争力のある製品を生み出せる。販売店も、高付加価値品を適正な価格で販売することで利益を確保しやすくなる。品田社長が主張するように、双方にメリットがあると捉えることもできるわけだ。

最終更新日:6/19(日)12:36 東洋経済オンライン

引用:https://news.yahoo.co.jp/pickup/6429927

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