手取り2倍ワークマンFCの内情

今年9月、神奈川県横浜市に女性客をターゲットにした業態店「#ワークマン女子」を初出店し、多くの話題を振りまいているワークマン。コロナ禍でも売り上げは順調に伸び続け、依然として好調さを維持している。この躍進の主な原動力は、ワークウェアをベースにした一般ユーザー向けウェアの開発や、一般ユーザーも入りやすい業態店「ワークマンプラス」の開発とされているが、もう1つ、陰の功労者がいる。フランチャイズだ。



 2020年9月末現在、ワークマンの店舗数は885店(前年同期比37店舗増)で、うち839店がフランチャイズ店(フランチャイズ比率94.8%)。ワークマンは自社のフランチャイズシステムを自ら「ホワイト・フランチャイズ」と称している。

「自分の親が自営で失敗したのを見てきました。家族がいる中で、後ろ盾のない一か八かの独立はリスクが大きい、それよりも安定した勤め人のほうがいいと思い、反対したのです」と美香さんは当時を振り返る。

 そんな美香さんもワークマンのFCに応募することには二つ返事で同意した。「ワークマンは大企業だし、本部という後ろ盾がある。今飛ぶ鳥を落とす勢いのある企業なのもあって、不安はありませんでした。むしろ、夫のこれまでの経験が活かせると後押ししました。私自身も化粧品の販売を経験しているので、お店をお手伝いできるかなと」。夫婦の経験を活かし、夫婦2人で経営できることに面白みと希望を感じたという。

上尾日産通り店は、前のオーナーが70歳の定年を迎えたことによる募集だった。新業態店「ワークマンプラス」へのリニューアルもあり、本部としても若い世代のオーナーを募集していたところ、ちょうどよいタイミングで長島さん夫妻が応募してきたというわけである。「ワークマンプラスの開発により知名度が上がったことで、FCオーナー募集を告知すると応募が殺到する」(八田部長)。長島夫妻は運がよかったといえるだろう。

 夫婦での運営を推奨するのは、何でも相談できる相手がすぐそばにいることが重要だからだ。店長は気を配らねばならないことが数多くある。売り上げ、客への対応、商品管理・売り場管理、アルバイトスタッフの管理。悩みは尽きない。

■支援制度で若い世代のオーナーを増やす

 2年前の2018年にワークマンプラスがスタートしたことで、それまでFC加盟時の店主の平均年齢が42.3歳だったものが、今年4月には38.5歳まで下がっている。ワークマン本部が意図時に若い店主を選んでいるということもあるが、若い世代からの応募も軒並み増加しているという。直近の半年間で新規にFC契約した40件の内訳は、20代が5人、30代18人、40代16人、50代1人だった。

例えば、月間売り上げが1500万円の場合、粗利率は平均36%なので、粗利額は540万円。本部へのロイヤルティーは324万円、加盟店の取り分は216万円。そこから電気代などの営業経費、在庫金利負担金、棚卸しロス預託金、パート・アルバイトの人件費、在庫の返済金などを差し引いた、最終的な店舗側の実収入は約100万円。年間1200万円の収入となる。

 年商3億円を売り上げれば年収2000万円超も夢ではないということだ。また、加盟時の必要資金の融資を受けたとしても、最初の1年で返せるほどの収入が得られる計算になる。なお現在、上尾日産通り店ではパート・アルバイトを6人雇用している。

美香さんも、「家計に潤いができ、子どもの将来にも希望が見えてきました」と明るく笑う。職人相手なので朝は早いが、通常閉店後に行われるレジ精算作業は昼の12時に行うので、20時の閉店後は5分で帰宅でき、家族と一緒に食事がとれる。自宅が近いので、子どもの運動会や授業参観は中抜けして見に行ける。家族との時間が増え、夫婦の会話も増えたという店主も多い。

 ワークマンのFCは、売り上げ目標はあるがノルマがない。だから、減点主義ではなく加点主義。頑張った分だけ自分に跳ね返ってくる。やりがいがある、と長島店長は語る。「やるからには埼玉県で一番店になりたい。スーパーバイザーから成功店の情報を教えてもらったり、社内報で商品情報を得て工夫したり、妻やパートさんに協力してもらって女性客を取り込んだりと、やることはたくさんある。まだまだ伸びると信じています」。

最終更新日:12/15(火)14:41 東洋経済オンライン

引用:https://news.yahoo.co.jp/pickup/6379413

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