英語能力を図るテストと言えば、TOEIC。その常識が変わり始めている。
外国籍の社員の多い企業を中心に、TOEICリスニングテスト&リーディング(L&R)で測定される読解力ではなく、むしろ英語で話したり、英語でチャットしたりするスキルが重視するようになっている。
社内の公用語を英語化しているSaaSのスタートアップ・HENNGE(ヘンゲ)では、TOEIC(L&R)だけだった基準を変更し、2020年から4技能(読む・聞く・書く・話す)を評価する制度に変更。
また東京オフィスのエンジニアリング組織の半数が外国籍社員というメルカリでも、求人募集に記載する英語レベルをTOEICから国際的な指標・CEFR(セファール)に変更したほか、独自開発のスピ─キングテストを導入して会話レベルを判定している。
こうした「脱TOEIC」の背景にあるのは、エンジニアなど外国籍人材を獲得するため、企業が英語利用を進めていることが背景にある。
企業が求める「英語力」の今を取材した。
外国からのエンジニア採用を活発にするため、公用語を英語化に踏み切ったものの、当時の社員のTOEIC(L&R)スコアの平均点は、990点満点中、495点。受験者全体の平均は600点程度になることが多く、英語を公用語としている企業としては厳しい結果だった。
しかしその後、昇進条件として人事評価にTOEICスコアを組み込み、会社としても英語学習を後押しした結果、TOEICスコアは順調に伸びていった。
英語の能力を高める文化はできたものの、次第に「TOEICの点数に固執する文化も生まれてきた」という。
「TOEICの良さは、実施頻度も多く、テキストも含めて学習しやすいという点。ただ外国人社員からは『なんでTOEICのL&Rのみで評価するのか? 点数が高くてもコミュニケーションが取れていない社員もいるし、逆に点数があまりなく英語で仕事ができている社員もいる』という声も聞かれるようになり、評価軸から根本的に考え直すことにしました」(人事評価など担当する高須俊宏氏)
社員の英語力が上がったことは、外国人採用の面でプラスの効果を生んだ。
HENNGEの外国人採用チームは、インドネシアやアメリカなどの各国の大学のジョブフェアやテックカンファレンスに参加し、現地のエンジニア求人媒体にも情報を掲載。「英語が公用語の日本企業」としての認知も進んできているという。
ただベトナムなど東南アジアでは、欧米など他国のテック企業もエンジニア獲得に動いており競争は激化している。だが、「だからこそ、英語が必要になっている」と汾陽氏は話す。
「ベトナムのIT人材の母数は日本より圧倒的に多く、日本で暮らしてみたいと考えるエンジニアも少なくない。英語で働けると言うことは、海外からの採用で重要な要素になっていくると思います」
最終更新日:6/9(木)13:41 BUSINESS INSIDER JAPAN