ご飯給食に牛乳 栄養士の見解は

昨年末や今年の3月、牛乳廃棄が問題になり「牛乳を飲もう」というキャンペーンが全国で広がりました。いずれも学校が休みに入る時期と重なっており、「給食牛乳」が牛乳消費に大きく影響していることに気づいた人も多いのではないでしょうか。今回はそんな給食牛乳の歴史を振り返ります。話を伺ったのは、学校給食研究改善協会の村上松二さんと、学校給食栄養士としてメディアなどでも多く活躍している松丸奨さん。脱脂粉乳から牛乳へと切り替わった背景と、今の給食牛乳事情について話を聞きました。

脱脂粉乳の時代が終わり、国産牛乳へとシフトしていった日本の給食牛乳。国産牛乳に変わったことで味が格段においしくなり、子どもたちにとって身近な飲み物として定着。時代とともに中身だけでなく、容器も変化していきました。

「アルマイトの器で飲んでいた脱脂粉乳から、瓶牛乳、そして今の紙パックへと形をかえていきました。給食牛乳の瓶はもともと180mlでしたが、昭和45(1970)年頃に200mlになり、昭和50(1975)年以降は紙パックへと移行していきます。瓶からパックへ移り変わる時期に“三角錐のテトラパック”という容器もありました。200mlの牛乳瓶を子どもが給食室から教室に運ぶのは非常に重たくて大変ですし、瓶は欠けたり割れたりする問題もあり、敬遠されていました。しかも、洗浄や殺菌に費用もかかる。そんなときに登場したのがテトラパックの容器です。経費も安く、何より軽くて運びやすいということで給食牛乳に採用されました。しかし、三角錐だと学校に配送するときに安定性が悪く、ゴロゴロ転がって破損しやすかった。そのうえ、並べたときに個数を数えにくいという問題も発生し、今のような四角い紙パックの牛乳が普及していきました。運びやすくて数えやすい四角い紙パックは、まさに理想の形だったのだと思います」(村上さん)

最近では学校給食でもSDGsの取り組みが盛んに行われており、牛乳の容器も見直されてきています。運用効率の良い紙パックに切り替わりつつある一方で、再利用しやすく環境にやさしい瓶牛乳を推す声も。そして、今では“脱プラ”の取り組みとして「ストローなしの紙パック牛乳」も登場しているといいます。

「僕が勤めている文京区の学校でも、今年の4月からストローがなくなりました。子どもたちはストローを使わずにパックから直に牛乳を飲んでいます。瓶牛乳は抵抗なく口をつけて飲めますが、家でパックを直飲みする子はあまりいないため、戸惑っているようです。鼻に入ってしまったり、こぼしたりする子もいます。リサイクルの面だけでなく、子どもの飲みやすさという面でも、瓶牛乳に戻すという動きがあるのは理解できますね」(松丸さん)

「例えば、ほかの食材でこの分量のカルシウムを摂ろうとすると、1食で小松菜を約3株、もしくはちりめんじゃこを44g食べなければいけません。そうすると今度は塩分やほかの栄養素がオーバーしてしまい、基準を満たす献立を作るのが難しくなってしまいます。もちろんシチューなどおかずに牛乳を使うこともありますが、それでも基準に達しません」(松丸さん)

最終更新日:6/4(土)16:00 クックパッドニュース

引用:https://news.yahoo.co.jp/pickup/6428459

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