「予約例年の1割」ホテル悲痛

新型コロナウイルス感染拡大の第3波が押し寄せる中、新潟市内のホテルから“悲鳴”にも似た声が聞こえてくる。年末年始の書き入れ時を迎え、企業や団体の忘年会や新年会でにぎわうはずが、今年は例年の1割しか予約が入っていないという。国の支援策「Go Toキャンペーン」の効果も限定的なようだ。(本田賢一)



 ■対策徹底も…

 師走入りすると同時に、新潟市内のホテルの幹部らが市役所で会見を開いた。業界の全国組織、日本ホテル協会が策定した感染拡大予防ガイドラインに沿った対策を徹底しているにもかかわらず、宴会需要は冷え込んだまま。対策を徹底していることをメディアを通じてアピールし、現状を打破したいとの思いから開いた会見だった。

 出席したのは、新潟シティホテル連絡協議会に加盟する新潟東映ホテル、ホテル日航新潟、ANAクラウンプラザホテル新潟、新潟グランドホテル、万代シルバーホテル、ホテルイタリア軒、ホテルオークラ新潟の支配人ら。いずれも同市中央区の新潟駅からほど近いところにあって200~800人収容の大宴会場を保有。宴会収入が収入全体の5割前後を占める。

 同協議会の会長で新潟東映ホテル支配人の大倉善紀氏は「年末年始は私たちにとって一番の書き入れ時。しかし、予約が例年の1割程度まで落ち込んでいる」と窮状を明かした。

 また、会見出席者の一人は「東京などに本社を置く大企業が忘年会・新年会の全社的な自粛を打ち出し、それが新潟の支社や支店に波及している。仕方ないこととはいえ、これが本当に痛い」と打ち明ける。

 ■休業、出向

 新潟県内では11月以降、複数のクラスター(感染者集団)が発生。県は同月11日、県独自の“注意報”を発令し、県民に感染対策の徹底を呼びかけた。政府の新型コロナ感染症対策分科会も、感染リスクが高まる場面の1つに大人数や長時間におよぶ飲食を挙げ、注意を呼びかけた。

 感染拡大の第3波が忘年会、新年会の予約時期と重なって宴会需要を消失させ、ホテルスタッフの雇用にも影響している。

 「各ホテルでは雇用継続を前提に社員を休業させ、国に雇用調整助成金を申請する措置を講じている。また、いくつかのホテルでは社員をグループ企業などに一時的に出向させている」(大倉氏)という。

 Go Toキャンペーンについては「少しずつ宿泊客が増え、レストラン利用者が以前より増えている」(大倉氏)と一定の効果は認めつつも、焼け石に水のようだ。「各ホテルとも、収入全体の5割前後を大宴会場を使った宴会収入に依存している。宴会需要の低迷により、毎月数千万円の赤字を抱え込んでいる」

 ホテルには、農業経営者や水産業者、酒造会社などが食材や商品を納入しており、宴会需要の低迷は新潟県を代表する他の産業も直撃することになる。

 会見に同席した中原八一市長は「感染が収束に向かっているなら、市民のみなさんに宴会をやりましょうということもできるが…。市としても感染状況の推移を見極めたうえで有効な対策を打ち出したい」というのが精いっぱいだった。

最終更新日:12/14(月)0:08 産経新聞

引用:https://news.yahoo.co.jp/pickup/6379272

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