毎月のように発表される自動車生産工場の稼働停止や生産台数調整の話題。2022年5月24日にも、トヨタは「5月・6月の国内工場の稼働および6月生産計画について」というニュースリリースを出した。新型コロナウイルスによる上海ロックダウンの影響で部品供給が滞り、5月末から6月初旬にかけても各地の工場が稼働停止となるようだ(編注:5月27日にも、トヨタ工場稼働停止の旨を発表。期間は6月6日から10日まで)。
半導体不足などの影響から、グローバル生産台数を含め、見直しが図られる昨今。新車納期の長期化で、大きな影響を受けているのが、全国の販売店だ。クルマを売りたいのに売れない、届けたいのに届けられない販売店の思いや現状を取材した。
文/佐々木亘
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写真/Adobe Stock、TOYOTA、HONDA
営業スタッフ一人当たりの受注残(顧客から注文を受けて、登録・納車を待っている状態の注文数)が、減っていかない問題はさらに深刻だ。
通常でも少なからず10台程度の受注残を抱えながら営業活動するのが、ディーラーの営業マンだが、新車納期が長期化する今、その受注残は倍から3倍程度に増えているという。
受注残があるときには、必ず管理業務が営業マンにつきまとう。生産タイミングをみながら、顧客に書類や入金のお願いをしたり、注文後に変化がないか、様子を伺ったりするのだ。注文から納車までが3カ月以上になる場合には、1カ月に最低一度は電話やメールでコンタクトを取り、顧客の心が離れないようにしなければならない。
メーカーから生産タイミングが発表されるのは、生産完了時期の2~3週間前だ。これを「振り当てがつく」と言う。車台番号が発表され、登録・納車に向けて動き出せる時期が判明することを指す。
振り当てがつくまでは、注文を入れてもメーカーからは何の音沙汰もない。営業マン一人一人が、それぞれの注文に対し、振り当てがつく時期を予想しながら、顧客へ定期的な連絡を入れ、顧客の気持ちを盛り上げていく。
販売活動や点検の誘致よりも、最も気を使い、綿密なスケジューリングとコミュニケーション能力が必要となる、受注残の管理。筆者でも現役時代に体験したことがあるのは、最高20台程度の受注残だ。納期は長くても1年以内である。
今は、30台程度の受注残を抱え、その納期は1年とも3年とも、はたまた4年以上とも言われる。減らない受注残に、営業マンの消耗は激しい。
最終更新日:6/3(金)11:40 ベストカーWeb