社長2年目で育休「当然の感覚」

2022年から順次、改正法が施行され注目される「男性育休」。

最近ではスタートアップの社長が取得する例も出てきたが、3年前、上場企業の社長就任2年目にして、1カ月間の男性育休を取得した人がいる。



ミートボールでおなじみ、石井食品の石井智康社長(40歳)だ。現在はシングルファザーとして子育てをしながら9時5時勤務で社長業をこなす石井さんに、男性育休を普及させる処方箋を聞いた。

加えて石井さんは社長就任直後から、「最低1週間、できれば2週間の長期休暇」の取得を推進していた。当時の石井食品は社内コミュニケーションといえばガラケーとFAXで、パソコンやメールアドレスを付与されていない社員もいたという。

石井さんの最初の仕事は社内にITツールを普及させること、そして「仕事の属人性を解消」することだった。

「どの部署も仕事が属人化している問題を抱えていました。これを解決するには社員に休んでもらうのが一番いい。その人がいなくとも仕事がまわる状態なのかがシミュレーションできますから。

育休もこの延長線上にありますし、社長も例外ではありません」(石井さん)

リーダーが抜けると権限委譲も進み、メンバーのオーナーシップも育つというのが持論だ。

石井さんの育休中は、社長がすべき意思決定は取締役や執行役員らに全てを委ねたという。

「『必要なら連絡をください』と言って休みに入ったものの、全くこなくて。僕は必要ないんじゃないかと不安になったくらいでした(笑)

とはいえ家事や育児でいっぱいいっぱいで、連絡がきても対応する余裕はなかっただろうというのが実際のところですが……」

石井食品の男性育休の普及を支えているのが、前述した長期休暇だ。連続した5日以上の休暇の取得率は60%超で、社内の休みやすい空気を底上げしている。長期休暇推進と並行して働き方改革も行ってきた。

「休むためには働き方を変える必要があるんですよね。その人にしかできない仕事がないよう徹底した情報共有を行ったり、必要な業務と社員のスキルを一覧にしたスキルマップを部署ごとに作成し、欠員が出ても慌てずにすむよう育成プランを練っています」

積水ハウスが実施した男性育休に関する調査によると、取得に後ろ向きな理由として「代替要員の手当ができない」ことを挙げる経営層や管理職は少なくない。

しかし、石井さんはこの発想そのものに疑問を呈する。

「代わりの人材がいないのは、そもそも経営としてリスクですよね。育休でなくとも病気や事故、離職の可能性もあるんですから。その人がいなくとも回る仕組みを作ることや人材育成が管理職や経営層の仕事です。

それでも難しい場合は、私だったら減産体制を取るなど、会社の目標値のほうを修正します」(石井さん)

最終更新日:5/26(木)22:00 BUSINESS INSIDER JAPAN

引用:https://news.yahoo.co.jp/pickup/6427614

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