アニメ「機動戦士ガンダム」シリーズのプラモデル(ガンプラ)がインターネットで高額で売買されている。新型コロナウイルスの影響で、自宅で過ごす時間が長くなったファンたちの購入が増えて品薄になっている背景がある。さらに高騰に拍車をかけているのが転売で稼ぐ「転売ヤー」。定価の2~3倍で売られることは珍しくなく、メーカー側も対策に乗り出した。
「お一人様3種類まで各1点ずつ」「値札に赤線がある商品は1日1点」。5月中旬、東京・秋葉原では大半の小売店がガンプラの購入制限を呼びかけるプラカードを掲げていた。
4月25日にオープンした福岡市博多区の大型商業施設「ららぽーと福岡」には限定品などを販売する専門店があり、初日から大勢のファンが詰めかけていた。
ただ、売買は売り手と買い手の合意に基づく取引だ。不正転売禁止法がある興行チケットや、国民生活安定緊急措置法の対象だったマスクなどの生活必需品を除き、転売には規制をかけにくいのが実情だ。
バンダイスピリッツは20年12月から静岡市の新工場を稼働するなど生産体制を強化。21年度の年間出荷数は2086万個と前年度に比べて263万個増えた。それでも「需要の急増に生産が追いつかず、供給不足が続いている」と説明。さらなる生産体制の増強を今春から進めているという。
転売対策も本格化させている。今年2月には取引業者に対して、買い占めや不当価格での販売がなくなるように協力を求め、4月にはホームページでの納品予定表の公開を休止した。担当者は「商品を買いづらい状況が生まれていることは遺憾。今後もさまざまな対策を検討していく」としている。 (御厨尚陽)
最終更新日:5/26(木)12:14 西日本新聞