離職率増加 給料が原因は短絡的

厚労省の雇用動向調査によると、令和2年1年間の離職者数が入職者数を上回り(*1)、今、離職対策は多くの企業にとって喫緊の課題となりつつある。なぜ離職者が増えているのか。その理由として“給料が安い会社=離職率が高い”と考えてしまいがちだが、決してそういうわけではなく、離職率が高い会社はほかにも原因があると、経営心理士で公認会計士の藤田耕司は指摘する。



■本当の理由を言わない離職者たち

 筆者は経営心理士、公認会計士として、心理と数字の両面から企業の経営改善のお手伝いをしていますが、その中で離職に関するご相談を受けることも多くあります。

私は社長が本当の離職理由が把握できていないと思い、現場への聞き込みをしてもらいました。

 その結果、ある管理職の方が部下に対してきつい接し方をしていることがわかり、それが原因で何人も辞めているのではないかという情報が得られました。そして、その管理職の方に事実確認をしたうえで、部下との接し方を改めていただきました。それにより、その後、離職者はほぼ出なくなりました。

 もしこういった対応ができていなければ、この管理職の方が原因でその後も離職者が出ていたでしょう。こういった事例はいくつもあります。

では、離職率を下げるため、関係欲求や成長欲求を満たすにはどういう関わりが必要なのでしょうか。

■相手を認めるコミュニケーション

 関係欲求を満たす関わりとしては、相手を認めるコミュニケーションをとることが重要です。

 具体的には、入社・退社時は挨拶をする、話を丁寧に聴く、共感を示す、感謝やねぎらいの言葉をかける、優れた点や努力の跡が見られる点は褒めるといったことが挙げられます。

 ある会社で、同じ仕事をしているのに、ある社員は仕事が面白くないと話し、ある社員は仕事が面白い、やりがいを感じると話していました。

ある30代後半の男性は、年1,500万円以上の給料をもらっていながら、その会社を辞め、年収1,000万円で別の会社に転職しました。年収を500万円も下げてでも転職した理由を聞くと、彼はこう答えました。

 「このままこの会社にいたら自分の成長はない。そう感じたから辞めようと思いました。成長が感じられない仕事をやりながら歳をとるのは本当にもったいないことだと思うんです」。

 このように、離職率は給料の内容だけで決まるわけではありません。そのため、私は離職率が高いと悩まれる社長には、次の質問をしています。

最終更新日:5/26(木)4:31 東洋経済オンライン

引用:https://news.yahoo.co.jp/pickup/6427552

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