「Hondaとして本来目指していた働き方を通じて変革期を勝ち抜くために、『三現主義で物事の本質を考え、更なる進化をうみ出すための出社/対面(リアル)を基本にした働き方』にシフトしていきます」。ホンダは2022年4月、国内営業部門の従業員向けに以上のようなメールを送付した。
出社を前提とした働き方へと転換する意義を強調する内容だ。ホンダの三現主義とは「現場、現実、現物」からなり、創業者の本田宗一郎氏の時代から受け継がれてきた、いわば企業理念。対面でのコミュニケーションを重視した働き方で、社員にホンダらしさを発揮してほしいというわけだ。
別のホンダの中堅社員は「在宅による日々の効率化と対面の合わせ技なら理解できるが、経営陣は現場を理解していない。優秀な学生の中からホンダを希望リストから外す人が増えてしまう」と嘆く。
同じ業界の日産自動車は「在宅勤務や時差出勤などを活用して感染対策をとっている」と回答。トヨタ自動車も「コロナ禍では在宅勤務が可能な職場でのより一層の在宅勤務を推進している」といい、東京や名古屋での4月末時点での出社率は4割以下にとどまるという。こうして見ても、ライバルたちと比べてホンダの選択は異質ともいえる。
最終更新日:5/20(金)18:26 東洋経済オンライン