スキー場 今冬どう乗り切るか

もうすぐ、ウインタースポーツのシーズンが到来する。ただ、その人気にかつてほどの勢いはなく、国内有数のスキー場を擁する長野県内でも利用客の減少傾向が続く。しかも今年は、新型コロナウイルスという厄介な問題までのしかかる。「今年は厳しくなる」。視界不良の中、スキー場事業者や自治体は今シーズンをどう乗り切るのか。【野呂賢治】



 白馬エリア(大町市、白馬村、小谷村)で「白馬岩岳スノーフィールド」「白馬八方尾根スキー場」「栂池高原スキー場」を運営する白馬観光開発は9月、今シーズンの営業方針を公表した。

 同社は、スキーやスノーボードといったウインタースポーツはアウトドアであり「密」になりにくいとの考えを示した上で、ゴンドラリフトなどは利用ごとに消毒を実施するほか、2人乗りリフトはグループ以外での乗り合いをやめ、4人乗りリフトもグループ以外の乗り合い時は1席以上間隔を空けて乗る形とする方針をまとめた。屋内施設については十分換気を行って営業し、施設ごとに時間を定めて消毒を実施するといった対策を講じるという。

 スキー場事業者などで構成する団体「日本鋼索交通協会」も9月にガイドラインをまとめ、各事業者に対し、ゴンドラやロープウエーは乗車定員を制限して間隔を空け、定期的に消毒することなどを促している。

 白馬観光開発では9月15日から今季のシーズン券などの販売も開始している。ただ、感染状況によってはスキー場の閉鎖もあり得るため、シーズン券購入者を対象に、閉鎖された場合には閉鎖時期に応じて返金する仕組みも新たに設けた。

 長野では1998年に冬季五輪が開催されるなど、ウインタースポーツが盛んだ。しかし、スキー場利用客は減少傾向にある。県の統計によると、2019年11月~20年5月のスキー場利用者数は前年比92万7000人減の552万7000人。暖冬少雪でオープンが遅れたことに加え、1月以降はコロナの影響で訪日外国人観光客が激減。ピークだった92~93年の2119万人の4分の1程度にまで落ち込んだ。

 県内のスキー場利用客の2割弱が外国人旅行客とみられるが、それも今シーズンはほとんど期待できない。県や市町村、スキー場事業者などでつくる「スノーリゾート信州プロモーション委員会」も9月に開いた会議で、今シーズンの利用者目標の設定を見送った。ここ数年は「700万人」としていた目標も、見通しが立たないためだ。

 スキー場にとって、厳しい冬になりそうな今シーズン。県は9月補正予算に、スキーリフト券の半額支援事業(予約サイトを通じて申し込んだ先着5万人対象)、スキー場感染予防対策の助成費などを盛り込んだ約3億9000万円の関連予算を計上した。県の担当者は「今シーズンは厳しくなると予測をしているスキー場事業者がほとんど。新規利用者を掘り起こし、シーズンを通して繰り返し利用してもらうなどして乗り切っていきたい」と話している。

最終更新日:11/26(木)10:22 毎日新聞

引用:https://news.yahoo.co.jp/pickup/6377607

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