似たような服装、メイク、ヘアスタイルの若い女性たちを指す「量産型女子」という言葉が使われるようになったのは10年近く前。今は下火になったのかな? と思いきや、意外な進化を遂げていました。(構成:ULM編集部)
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「量産型女子」という言葉をご存じでしょうか。
インターネット上を中心に2010年代頃から使われ始めたスラングで、大量生産の単語から派生していることからも分かる通り「同じようなファッションやメイクをしている、外見の似た若い世代の女性たち」といった意味で使われています。
一見「個性がない」「見分けがつかない」などと悪い意味にも捉えられてしまう量産型女子ですが、彼女たちが身に着ける“カワイイ”の最大公約数とも言えるファッションは確かにかわいらしく、またそのときどきの流行を象徴しているスタイルとも言えます。
淡いピンクのブラウスやレース編みのカーディガン、台形スカート、ゆるく巻いたロングヘアなど、2010年代前半に流行し始めた量産型女子は、主に女子大学生に多いファッションを象徴するものでした。
その数年前に流行していたのは、レースや花柄を好むファッションの「森ガール」。量産型女子は森ガールの要素を一部引き継いでいるとの側面もありますが、しかし量産型の基本スタイルは、この10年弱で少しずつ変化を遂げています。
2021年現在の量産型女子は「量産型オタク」とも呼ばれ、男性アイドルなどへのウケを意識した、いわゆる「推し活」(好きなアイドルをめでたり応援したりすること)向けのかわいらしいファッションのことを指す、というのです。
2010年代前半に流行した「量産型ファッション」より、さらに女の子らしく、かわいらしさに重きを置いているのが現在の量産型女子の特徴です。
レースやリボン、ピンクなどの淡い色のファッションが主流で、ビジューなどキラキラした装飾が入っているファッションも人気のスタイル。
とにかく甘い雰囲気で、スカートやワンピースが鉄板。ふんわりと女の子らしいイメージを追求しているため「お姫さまのような雰囲気」と称されることもあります。
このお姫さまのような雰囲気というのが、人気の大きな理由のひとつです。
幼い頃、多くの女の子が抱いていた「お姫さま願望」は、日常ではなかなか実現するチャンスはありません。
しかし、推し活をする場面であれば「気分を盛り上げるため」「非日常気分を味わうため」といった理由を付けて、思い切って「お姫さまのような」格好をすることができるようです。
つまり量産型ファッションは、このワードが生まれた初期の「どこにでもいそうな格好の女子」という意味から「特別な日の着飾った女子」といった意味合いに変化しているのです。
ちなみに量産型は、全ての男性にかわいく見られたいという「男ウケ」を狙ったものではない、というのが彼女たちの言い分。
あくまで、推し活やディズニー観光といったハレの日に「自身の気持ちを盛り上げるため」に、とびきり甘いファッションをして楽しんでいる女子が多いようです。
最終更新日:11/14(日)22:13 アーバン ライフ メトロ