インターネット金融大手SBIホールディングスは12日、新生銀行の買収防衛策発動が臨時株主総会で決議された場合は、同行に対するTOB(株式公開買い付け)を撤回すると表明した。
一方、新生銀は、SBIとの統合効果はわずかだとし、複数の友好的な出資受け入れ候補と収益強化策を協議中だと明らかにした。双方が、預金保険機構からの質問状に対する回答書で公表した。
SBIは、新生銀株の48%を上限として買い付けており、TOBが成立すれば、企業価値向上の道筋が付いた段階で銀行持ち株会社の認可を取得し、過半数の株式取得も検討すると説明。また、買い付け価格を1株2000円から引き上げる考えはないと改めて主張した。
これに対し、新生銀は、消費者金融など利益貢献が大きいノンバンク事業の評価や将来の買収戦略の効果などを反映した場合、企業価値は最大で1株3355円になると試算した。具体的な水準を初めて示し、SBIに買い付け価格の引き上げを求めた形だ。
工藤英之新生銀社長は12日の決算会見で、出資受け入れ先について、異業種や海外企業など顧客基盤が異なることが重要だと指摘した。
SBIは子会社化が実現すれば、新生銀の純利益は2025年3月期に710億円に達するとの計画を提示した。一方、新生銀側は買収効果などを含め、自力で702億円は「達成可能」(工藤氏)と強調。SBIの計画は地域金融機関など新生銀と顧客が重なることを考慮すれば、「シナジー(相乗効果)がそんなに生まれない」と懐疑的な見方を示した。
預保機構は子会社の整理回収機構と合わせて、新生銀株の2割超を保有。25日の新生銀の臨時株主総会を前に質問状を送り、12日までに新生銀の企業価値向上策などを示すよう求めていた。預保機構は双方の回答を踏まえ買収防衛策への賛否を決める。
北尾吉孝SBI社長は12日、新生銀株主に書簡を送付し「(買収防衛策に)反対の議決権行使をお願いする」と呼び掛けた。
最終更新日:11/12(金)21:34 時事通信