幼いころから身近にあったラムネ菓子が今、ブームとなっている。大人をターゲットにしたラムネが複数社から登場していたり、ドリンクやゼリー、プロテインなど、ラムネ味の商品が立て続けに発売されたりしている。いったいなぜ、ここまでラムネ商品に火が付いているのか。ラムネ業界でシェア20%(※1)を誇り、このブームをけん引してきた森永製菓に話を聞いた。(清談社 田中 慧)
(※1)…出典:インテージSRI+ ラムネ菓子(森永製菓定義)市場 2020/8/1 - 2021/7/31 累計販売金額
● “大人向けのラムネ”が 爆発的な人気商品に
ラムネ飲料の味を再現し、お菓子にしたラムネ菓子が今、子ども以外の層からも支持を得ている。ラムネ菓子に注目が集まりだしたきっかけは、2018年に森永製菓が発売した「大粒ラムネ」だったという。
「SNSで『ラムネを食べると集中できる』という口コミが広がったことを受け、デスクワークや勉強のお供として、ターゲットを大人にして開発したのが『大粒ラムネ』です。食べ応えがあるよう、大きさを従来のラムネの1.5倍にして販売しました。爆発的な人気商品となり、3年たった今でもブームは継続しています」
こう語るのは、同社でラムネ菓子のマーケティングを担当する中原仁氏だ。
● 広がるラムネ愛用者 アスリートやゲーマーからの支持も
ビジネスパーソンや勉学に励む学生を中心に盛り上がるラムネブーム。最近では、手軽にエネルギー補給ができて、おなかにたまらないというメリットから、ラムネを手にするスポーツマンが増えているという。
「ゴルフ選手がラウンドの合間に口に入れている様子がテレビで流れていたり、あるスポーツチームではラムネ好きを公言している選手が得点を決めるとサポーターがラムネを食べたりするという流れが生まれているそうです。また、アスリート選手に限らず、『筋トレのお供に食べてます』といったSNSの投稿もよく目にしますね」
さらに、コロナ禍以降は少し意外なターゲットを狙った商品も登場している。
「自粛期間でゲーム人口が増えているところに着目して開発したのが『大粒ラムネ GAMEBOOSTER』です。従来のラムネにカフェインを加えた商品で、“食べる魔剤”として反響を呼びました。今後拡大が見込まれるeスポーツをする人にも食べていただきたいですね」
森永ラムネを筆頭に、今やコンビニのお菓子棚には、「小梅ラムネ」(ロッテ)や「レインボーラムネミニ」(UHA味覚糖)など、さまざまなメーカーのラムネ菓子が並んでいる。着実にラムネの価値への注目度は高まっており、市場の競争は加熱しているのだ。
「ラムネ市場全体として、ぶどう糖の含有率の高さを訴求する商品が増えています。ただ、ぶどう糖を取りたいのなら、ぶどう糖のタブレットを買えばいいはず。当社では、ぶどう糖の含有率だけではなく、仕事や勉強、スポーツなど、具体的なシチュエーションを明示していくことや更なるエビデンスの獲得により、なぜ森永のラムネがいいのかをしっかりと訴求し差別化を図っていきたいですね」
最終更新日:10/18(月)14:46 ダイヤモンド・オンライン