アイコス好調 CEO語る日本戦略

フィリップ モリス インターナショナル(PMI)は8月、加熱式たばこの新型IQOS ILUMA(イルマ)と、IQOS ILUMA 専用たばこ TEREA(テリア)スティックを日本市場に投入した。同社は「煙のない社会」を提唱し、10年以内に日本国内の紙巻たばこの販売から撤退を目指す方針を掲げている。具体的には2025年までに同社の紙巻たばこ喫煙者の少なくとも4000万人を煙の出ない製品に切り替え、同社の純収入の50%以上を煙の出ない製品で占めることを目指す。



 その陣頭指揮を執るのは5月に最高経営責任者(CEO)に就任したヤチェック・オルザック氏だ。オルザックCEOはIQOS ILUMAやTEREAの開発にも深く関わってきた。IQOSなどの好調によって同社の2021年第2四半期(4~6月期)決算を見ると、調整後営業利益は前年同期比18.7%増の34億5400万ドルで、コロナ禍でも独自の成長を遂げている。

 今後のPMIの戦略についてオルザックCEOが単独インタビューに応じた。前編ではIQOSをいかにして日本市場に訴求してきたのかを聞く。(ジャーナリスト武田信晃、アイティメディア今野大一)

――ライバル企業のJTなどはプルーム・テックなどの加熱式たばこを売り出している一方、貴社のように紙巻たばこからの撤退までは表明していません。競合も少なくない日本市場をどう捉え、どんな戦略をとっていくつもりですか?

 もちろんJT、ブリティッシュアメリカンタバコ(BAT)なども紙巻たばこに替わる代替製品を日本市場で展開していますので、切磋琢磨してより良い商品を売っていくことになります。業界全体として煙のない社会を進められればいいのではないでしょうか。

 それは世界の市場においても同様です。ビジョンを共有してくれるステークホルダーをどれだけ増やせるかによって、政策を推し進められる度合いが変わります。

 例えば日本での事例として、コンビニエンスストアがあります。コンビニは加熱式たばこを展開するスペース(レジの後ろにあるたばこの棚)を私たちに用意してくれました。そのおかげで消費者に、どんな商品があるのかを訴求できたのです。

――2014年に名古屋を皮切りにしてIQOSを発売しました。日本市場に広めるために意識していたことは?

 消費者に寄り添った展開ができるかを大事にしていました。紙巻たばことは異なったB2Cへの投資をしています。具体的にはIQOSストアやポップアップショップを展開し、体験の場を増やしました。

 もし消費者が何か懸念をもっているのであれば、それについてヒアリングして、疑問点を払拭できる有益な情報を提供します。そういったやりとり自体が重要だと考えています。このアプローチをした結果、100人がIQOSを試すと70人が紙巻たばこから切り替えました。かなり高い割合ではないでしょうか。

 日本でIQOSは、イノベーションを起こした商品という印象を与えています。一方で、紙巻きベースの喫煙者の中には、本当に有害性成分の量が平均で95%削減されたのか懐疑的な人もいました。そういった状況の中で助けになったのは成人の消費者の中でもより若い層でした。インターネットへのアクセス頻度が高い層で、新しい考え方に対する感受性が強く、紙巻たばこ喫煙者である親に対して「IQOSという解決策があるんだよ」と伝えてもらったことは大きかったと思います。

 喫煙者からすれば、従来の紙巻たばこよりもIQOSにスイッチしたほうが健康への害を低減できる可能性があるのです。それに煙が出ないという特性は、喫煙者の周辺にいる人も配慮したものです。だからこそ、IQOSが好まれていると考えています。

――イルマを試してみましたが、また吸ってみたいと思いました。デザインもよりスタイリッシュになった印象です。

 今回、日本からイルマシリーズを投入したわけですが、これまでのIQOSの歴史を考えると、常に日本先行で歩んできています。イルマの誕生についても、日本の消費者から得たさまざまなフィードバックがあったおかげだと考えています。

 イルマはブレードがなく、蒸気の質も一定で安定しています。味も良く、さまざまなバリエーションもあります。デバイスもいろいろな価格帯で提供できるので、イルマの発売は、これまでの歴史の中で最高の出来事だと思っています。

――ブレードのない製品に置き換わるのですか。それともブレードありとの併売になるのですか?

 できるだけブレードなしの製品を広げていきたいと考えています。「煙のない社会」実現のためによりよいソリューションとして、日本の消費者にイルマを訴求していきたいからです。そういった背景から世界で初めてブレードのない製品を日本で投入したわけです。

――これまでの機種でもBluetoothを搭載した商品はありましたが、イルマではIoTの機能を搭載しているのですか?

 Bluetoothはイルマにも搭載しています。デバイステストに使うことや、未成年者が使えないように、デバイスロック的なことで年齢確認もしていきたいと考えています。

――イルマとテリアの言葉の意味は?

 イルマは光、明るさという意味で、最新の製品という意味でもあります。加熱式たばこに光をもたらすものです。テリアは、過去のIQOSの商品と互換性がないことからも分かるようにヒートスティックの構想を変えたわけです。そのためにも、テリアという名前を強調しなければならないと考えました。

最終更新日:10/16(土)23:16 ITmedia ビジネスオンライン

引用:https://news.yahoo.co.jp/pickup/6407173

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