心が痛い チロルチョコ現場改革

一口サイズのロングセラー商品・チロルチョコは、定番・限定を含め40種類以上が存在します。1903年創業の松尾製菓(福岡県田川市)が製造し、2004年に立ち上げた「チロルチョコ」(東京都千代田区)が企画・販売を担います。両社の社長を務める松尾裕二さん(35)は、創業家の4代目として、「ムリ・ムダ・ムラ」を無くす組織改革や、海外展開に取り組んでいます。

ーー就職から2年後の11年、チロルチョコ株式会社に入社しました。お父様の反応はいかがでしたか。

 本当は5年くらい勉強しようと思っていましたが、その頃、私に子どもができました。父親になる実感がわき、スキルアップも見据えて、腹を据えて家業に戻ろうと決意しました。会社に入れてほしいと言った時、父はただ「分かったよ」と。その時にうれしかったかは、聞いたことがないので分かりません。

ーー入社してから、どのような仕事を経験しましたか。

 最初は現場からということで、福岡にある管理、物流、製造の各部門を、1年間かけて回りました。印象的だったのは、私が入社してすぐに開かれた全社大会という年1度のイベントです。

 「彼が次の社長だから、みんなよろしく頼む」。父が全社員の前で公言したので、驚きました。だいたいの経営者は、後継が育たなかったときのために、逃げ道を用意するものじゃないですか。「次期社長」と公言されたことでプレッシャーを感じましたが、自覚が生まれました。

ーーその過程でお父様と意見対立のようなものはなかったでしょうか。

 会議で親子げんかのようなことはなかったです。もちろん意見を言い合うことはありますが、ずっと平行線で全員黙るという感じにはなっていません。会長の父は芸術や建築を好むクリエーティブな人ですが、私は大人数でスポーツをやってきたタイプです。基本的な性格や考え方は全然違いますが、経営者同士、会社を良くしたいという目指すべきことは変わりません。

 幸いなことに、息子だからといって、「まだまだひよっこだから黙っときなさい」という扱いはされませんでした。自分も父を立てるようにしていたつもりですが、今思えば立ててくれていたのかなとも思います。

 ※後編では、松尾さんが悩みながらも進めた組織改革や、力を入れようとしている海外戦略の展望などを伺います。

最終更新日:10/15(金)9:04 ツギノジダイ

引用:https://news.yahoo.co.jp/pickup/6407006

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