食品にカビ 危機脱した若手社長

1927年に創業した中尾食品工業(大阪府堺市)は、昔ながらのこんにゃくを製造販売しています。4代目の中尾友彦さん(33)は、商品にカビが生えるという製造ミスをきっかけに、父親に直訴して25歳で社長に就任。従業員を粘り強く説得しながら、工場内の環境改善や社内改革を進めました。

入社して1年半後、2代目の祖父が、脳梗塞で倒れました。当時の社長は3代目の父でしたが、会社の経理関係や権限は祖父に集中していました。「祖父は2回目の脳梗塞で、もしものことがあれば会社が大変なことになる」。そう思った中尾さんは、先に家業に戻っていた姉と2人で提案し、家族会議を開きます。

 「父は職人肌で、事務所に座って経理の仕事をするのが嫌な人でした。数字も得意ではなかったため、私が家業に戻らないとうまくいかないと思い、戻ることを決めました」。決め手になったのは、従業員の存在でした。「ずっとひやかしてくれて、笑いあえていた従業員さんたちが、私が家業に戻らないことで職を失ったり路頭に迷ったりしたら、一生後悔すると思ったのです」

そんなとき、中尾さんは姉の一言にハッとします。「経営者になるって言っていたよね。今が代わるときじゃないの?大変なところはサポートするから」

 中尾さんは父に「社長を代わってほしい」と直訴します。「いずれお前がやっていく会社やしな。代わるか」と言われ、交代が決まりました。「父はいい意味で社長の肩書に固執していなかったし、このタイミングだったからこそ、話がすんなり通ったのかなと思います」。13年11月、中尾さんは25歳の若さで、4代目社長に就任しました。

地道な説得が実を結び、半年ほど経ったころには、全従業員がルールを守るようになりました。服装だけではなく、工場内の持ち込み禁止物についても、他社から教えてもらいながら、ルール化しました。

 「シャープペンシルやライター、画びょうといった持ち込み禁止物を細かく決めました。また、身だしなみのルールや衛生チェック項目なども定めました。現場は管理が増えたので、やりにくいと思っていたでしょう。でも、それが普通で、お客様の求めていることなので、納得してやってもらっています」

最終更新日:9/14(火)9:41 ツギノジダイ

引用:https://news.yahoo.co.jp/pickup/6404380

その他の新着トピック