セコマ 大手コンビニにない強み

北海道を主戦場とするコンビニエンスストアの「セイコーマート」(以下、セコマ)が8月に創業50周年を迎えた。道内に1000店舗以上を展開し、道民に愛され続けているセコマ。その人気の秘密をジャーナリストの山田稔氏がレポートする。

北海道へのこだわりも強い。創業の地で育ってきたセコマは、製造から物流、販売まですべてを自社グループで完結しているが、この独自システムに北海道へのこだわりがある。

「北海道内には21か所の食品工場、13か所の物流センター、6か所の農場などがあり、さまざまな地域の方々に支えていただいています。

 北海道は日本の食糧基地としての役割を担い、多くの生産空間を有しているため、生産空間となっている地域の存続は日本にとっても重要な課題です。

 そのため、最低限の買い物ができる店舗網の維持、地域産品の積極的な活用(現在70以上の市町村品で160品以上を販売)、地域での雇用(グループ全体で約2万1000人)などの面で、持続可能な地域づくりを地域のみなさまと推進していきます」(同社広報部)

こうした数々の取り組みの結果、セコマに対する顧客満足度は高まる一方だ。

 JCSI(日本版顧客満足度指数)のコンビニ部門で、セコマは2011年~2014年、そして2016年~2020年と過去10回中9回も1位に輝いているのだ。北海道にあってはなくてはならない生活インフラ、社会インフラとして存在しているわけだが、今後はどんな事業展開を考えているのか。

 同社は今後も北海道の地域に密着した店舗づくりの継続を軸に事業展開していく方針だとして、こう説明する。

「道内にある1000店以上のリアル店舗は物流網でもあり、お客様の近くまで運ぶ能力を有しています。ネットでの注文を最寄りのリアル店舗でお客様の都合のいい時間帯にお引き取りいただける商品を拡充、O to O(※注)を強化して利便性を高めていきます。

 また製造事業では、優れた地域産品の発掘と商品化を進め、その商品の定番化を図り、グループ内店舗だけでなく、道外、海外への販路を広げていくことで、食品メーカー事業を強化すると同時に、地域のブランド化と経済循環を目指していきます」(同前)

【※注/「Online to Offline」の略。ネット上(オンライン)での情報接触行動をもって、ネット外の実地(オフライン)での購買行動に影響を与えるような施策のこと】

 現状に満足することなく、さらなる顧客サービスと地域発展、事業拡大を図っていこうということだが、上場の計画はないのだろうか。

「中長期的な視点での新規事業や投資、腰を据えた育成という点を重視すると、非上場のほうが進めやすいと言えます。資金調達面においても自己資金や金融機関からの資金調達で賄える状況です」(同前)

最終更新日:9/5(日)9:28 NEWSポストセブン

引用:https://news.yahoo.co.jp/pickup/6403628

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