昨年(2020年)から続くコロナ禍で、外食産業はランチ需要やテイクアウトの対応など新たな食ニーズに応えるために奮闘している。日本フードサービス協会が発表した「外食産業市場動向調査」によれば、2021年5月度の外食全体の売上は、前年同月比119.8%に増加。しかし、コロナ前である前々年の同月と比較すると80.2%(19.8%減少)という結果で、日常は程遠いといった様子だ。
不穏な社会情勢が長引くなか、コロナ禍でも出店攻勢を続け、テイクアウト需要を見据えた「丸亀うどん弁当」が大ヒットするなど、好調を維持しているのが株式会社トリドールホールディングスの丸亀製麺だ。うどんチェーン店業界最大手として知られ、いまや国内外に1000店舗以上を構えている。
運営する株式会社丸亀製麺 執行役員CMOの南雲克明氏に、丸亀製麺がここまで成長できたワケやコロナ禍での取り組みについて話を聞いた。
さらに、商業施設への出店を主軸にしていたはなまるうどんとは対照的に、積極的な出店攻勢をかけてきたことが、業界トップの店舗数を誇るようになった要因だという。
「丸亀製麺は各店舗で製麺をおこない、だしを引いてお客様に商品をご提供しておりますので、製麺機を置くスペースさえあれば、基本的に出店が可能だったんです。ですので、出店場所はあまり制約なく展開できたんです。
2011年には全都道府県への出店を達成しましたが、その7割を占めるのがロードサイド店舗になっています。ターゲットを絞らずに老若男女問わず愛されるうどんを提供したい一心でやってきたため、ファミリー層からおひとりさままで、幅広いお客様が利用できる店舗を拡大してきたわけです」
さらに、“丸亀食感”を生み出す麺づくりの達人と呼ばれる「麺匠」の存在や、独自性を生み出す商品開発チームの影響も大きいという。
今年4月には業界の常識を覆す「丸亀うどん弁当」を発売し、4か月で900万食を突破する大ヒット商品となっている。このヒットについて南雲氏は「想像以上の反響に正直驚いている」とし、次のように話す。
「テイクアウト事業を始めた当初から構想はありました。それを1年かけて形にしたのが『丸亀うどん弁当』だったのですが、これほどヒットするとは思いませんでしたね。社内では賛否両論ありましたし、自信はありましたが正直出してみるまでわかりませんでした。
ヒットに繋がった理由として、まずは打ち立てのうどん以外にも天ぷらやきんぴらごぼう、玉子焼きなどの具沢山な弁当を、リーズナブルな価格で買えることが挙げられます。
そして、既存のテイクアウト商品は自宅で食べることを想定していましたが、気軽に持ち運びしやすい『丸亀うどん弁当』を出したことで外出先やオフィスなど、オケージョン問わずに丸亀製麺のおいしさを楽しめるようになったのが大きいと考えています」
コロナ禍の影響で鈍化していた海外でのビジネス展開も、来年以降の発展を目指して注力していくという。
「海外の店舗であっても、日本と同じく店内製麺で打ち立て・茹でたてのうどんを味わってもらうために、麺を粉から作るのことは変わりません。海外で人気を博しているのは、比較的に値の張る和食のなかでも、本格的な丸亀製麺のうどんや天ぷらをリーズナブルな価格で食べられるから。7月26日にはロンドンに第1号店を出店し、初日から大盛況の幕開けとなりましたが、今後もグローバルでの成長戦略を描きつつ、丸亀製麺の魅力を世界に届けていければと思います」
最終更新日:8/21(土)12:12 bizSPA!フレッシュ