商業施設の開店と閉店の時間に縛られず、テナントが自由に営業時間を決める。
2021年に開業10周年を迎える、静岡市にある商業施設「新静岡セノバ」。
1日2万人から3万人が訪れ、平日は午後8時までの営業だが、午後7時には早くも閉店作業に入るお店が…
入り口には、営業時間フレックスタイム制の文字。
実はセノバでは、5月から業態や地域特性にあわせて、テナント自身の裁量で営業時間を設定できる営業時間フレックスタイム制を導入した。
そのため、同じフロアでも開いている店もあれば、閉まっている店も。
これまでテナント側は、施設側が決めた営業時間に従うのが一般的だった。
しかし、テナントと商業施設の常識を覆す改革にふみ切った背景には、深刻な人材不足があった。
静鉄プロパティマネジメント・佐藤壽康常務:
セノバでは、登録スタッフが1,600~1,700名います。
ただ、多くがパート・アルバイトで、1年間で半分くらいが入れ替わり、店長をはじめとしたコアなスタッフが疲弊をしていて、新しいスタッフがなかなか育たない。
思い切った策も必要なのではないかと思いました
三田友梨佳キャスター:
社員全員がリモートワークで働くスタートアップ、「キャスター」取締役CROの石倉秀明さんに聞きます。
今回の試み、経営者の目にはどう映りましたか?
キャスター取締役CRO・石倉秀明さん:
営業時間のフレックスタイムという考え方は新しいですね。
過去、商業施設やそこに入るテナントの採用支援を100件近くやってきましたが、どうしても商業施設の営業時間に合わせて働ける人のみを採用することが多く、人材確保の観点でボトルネックになっていました。
それを解消する意味で、 テナント独自で働く時間や営業時間を決められるということは、変化として非常に大きいものがあります
三田キャスター:
働く方にとっても、メリットは大きいですよね
石倉秀明さん:
施設の閉店時間までは働けないけど、18時までなら働けるとか、そういった人達を採用できるようになるわけですから変化として大きいと思います。
ただでさえ、サービス業の現場は労働条件が厳しくなりがちなので、こういった取り組みがもっと広がるといいなと思います。
実は私自身、同じ静岡県内の別のサービス業の働き方を変える取り組みの手伝いをしています。
そこでは働く人のフレックスタイム制を入れていますが、より柔軟性をあげて『月間160時間働いていればOK』とすることで、お客さんが少ない日には早く上がったりなどできて、お店としても人件費の最適化に繋がる取り組みになっています
三田キャスター:
柔軟な働き方を進めると、そこで働く人はもちろん、企業にとってもメリットがありそうですね
石倉秀明さん:
週休3日制などの柔軟な制度で魅力を上げることもできる。一方、 パートタイムや短時間勤務でも、希望すれば店長になれたり、出世できるようなモチベーションアップの仕組みも入れると、より多様な人の確保もしやすくなるし、活躍の場が広がり満足度が上がると思います。
今回の取り組みのように、雇用形態とか労働時間に関係なくキャリアのチャレンジができる取り組みがいろいろな業種で進んでいくと良いと思います
三田キャスター:
遅くまで商業施設が開いているのは便利ですが、その利便性の背景には働く人の生活があります。サービス業そのものの改革にも目を向けていく必要があると感じます
(「Live News α」8月10日放送分)
最終更新日:8/12(木)8:31 FNNプライムオンライン