缶詰のパイナップルの味や形を模した「パインアメ」の香りを再現した石けん「パインアメソープ」(税込み888円)をミヨシ石鹸が開発した。一般販売に先立ってミヨシ石鹸がクラウドファンディングサイトで先行購入者を募ったところ、開始から24時間で目標金額の10倍を超える人気ぶりだった。今年70周年を迎えた定番のお菓子は他社とコラボレーションした商品を続々と増やしているが、パインアメを製造するパイン(大阪市)のコラボ企画の基準は甘くはないようだ。(SankeiBiz編集部)
■「ヤバいもの生み出した」
「自画自賛で言わせてください。ヤバいものを生み出してしまった…」
ミヨシ石鹸の公式アカウントが12日にTwitter(ツイッター)に書き込んだ通り、パインアメソープはインターネットの話題をさらった。
石けんは直径8.8センチメートル、重さ175グラム。手のひらよりやや大きいくらいのサイズだが、真ん中に穴が空いたデザインは一口サイズのパインアメのようだ。香りについてもモチーフのお菓子そっくりに再現したという。
12日からクラウドファンディングサイト「Makuake」で、1個ごとのバラ売りや8個セット(同6464円)などの先行販売を始めたところ、約2時間で目標金額の8万8888円を達成し、24時間後には目標の10倍を超えた。早々に完売したため商品が追加されたが、それもすぐに売り切れ、19日の時点でサポーター(購入者)が1832人、購入総額が目標の5058%にあたる449万6164円に上った。
新型コロナウイルス感染防止で手洗いや“おうち時間”の過ごし方の関心が高まったことから、日常を楽しくする商品を作ろうという狙いがすばり当たった格好だ。開発の背景には同社のメーンターゲットである30~50代の女性以外の層にもアピールしたい考えがあったが、多方面にアンテナを張るネットユーザーの間で「バズった(話題になった)」ことで目的を果たせたと言える。
■香料はトップシークレット
パインアメのコラボ商品は多岐にわたり、今年だけでもパインアメ味のサワー、乳酸菌飲料、洋菓子のブッセ、冷凍するとシャーベットになるポリ容器入りドリンクが発売された。それ以前には他業種ともコラボを果たしており、入浴剤や食器用洗剤なども登場している。
既に洗剤があるのなら、新たに石けんが作られても不思議ではないのかもしれないが、そもそもお菓子がコラボの範囲を日用品にまで拡大すること自体が珍しい。ユニークな商品が生まれ続ける理由についてパインの広報担当者はこう話す。
「現在、当社ではテレビCMを展開していない。他社とコラボをすることで小売店のさまざまな棚に『パインアメ』の名前がついた商品が並べば、宣伝になる」
パインとしては自社商品をアピールしたいのだから、コラボ企画は自然と厳選される。基本的にパインに企画案が持ち込まれ、メーカーが製品を作り、パインは監修を担当する流れだが、「波及効果が見込めない案や原価の課題を解決できない案は実現しない」(広報担当者)という。
正式にコラボ商品を開発することが決まっても、パインアメの味や香りを自力で再現するという難関がメーカーを待ち構えている。パインにとってお菓子に含まれる香料の情報は秘中の秘。看板商品の名を冠した商品を作るとはいえ“トップシークレット”を外部に知らせるわけにはいかないのだ。
試作品をもとにアドバイスを送ることはあるそうだが、パインアメの香りや酸味に似せるのは至難の業だ。パインの中でも、試作品に対して「パイナップル味だけどパインアメ味ではない」などと、職人的なこだわりを求める意見が出ることがあるという。
こうした難題をクリアしたパインアメソープは、「パインアメの日」の8月8日からミヨシ石鹸の公式オンライストアで予約販売される。しかし、注文が殺到しており「初回以降、いつ販売できるようになるか見通せない」(広報担当者)。今後の販売情報はTwitterや公式オンライストアで告知していく予定だ。
最終更新日:7/19(月)21:19 SankeiBiz