令和「新宮夜行」昭和との違い

京阪神から紀伊半島へ走った夜行普通列車、通称「新宮夜行」が2021年7月16日(金)、特急「WEST EXPRESS 銀河」に形を変えて復活しました。京都を21時15分に発車し、新大阪、天王寺、日根野、和歌山と停車。熊野川の河口、和歌山・三重県境にある終点の新宮へは、翌朝9時37分の到着です。



 夜行普通列車の「新宮夜行」は、1999(平成11)年に定期運行を終了。臨時運行も2000(平成12)年に終えました。

 定期運行終了時のダイヤは、新大阪発22時45分、新宮着5時10分(新宮行きのみの運転)。早朝から紀伊半島南部で釣りを楽しむ人にも利用されたことから、「太公望列車」という呼び方もされています。

 1984(昭和59)年まではB寝台車(三段式)を連結。「はやたま」という正式な列車名を持ち、亀山~天王寺間を紀伊半島の外周へ沿うように走っていました。さらに昔には名古屋駅、南海難波駅発着だったこともあります。

 筆者(恵 知仁:鉄道ライター)は1987(昭和62)年12月、「新宮夜行」に乗ったことがあり、この2021年7月3日(土)には、ひとあし早く報道向けに公開された新宮行き夜行特急「WEST EXPRESS 銀河」にも乗車できたのですが、そこでは色々と思い出したこと、考えたことがありました。

「WEST EXPRESS 銀河」はクシェットのほか、寝転べるグリーン個室、かつてのA寝台車のように横になれるグリーン車指定席を備えるほか、座席の普通車指定席もありますが、一般的な特急車両より余裕があるリクライニングシートです。フリースペースも編成各所にあります。

 また深夜の和歌山駅では、駅前の店舗で夜食のラーメンが用意され、朝を迎えた串本駅では、地元の海の幸を使った「漁師の朝ごはん」が用意されました。

 令和になって、新宮行き「WEST EXPRESS 銀河」が運転を開始するにあたり、「『新宮夜行』復活」と自ら記事で表現したこともありました。

 しかし実際にその「令和の新宮夜行」へ乗ってみると――乗らなくても分かることではありますが――「復活」という表現に対する違和感が、至れり尽くせりで快適な車内で育っていきました。


 とはいえ、「昭和の新宮夜行」をネガティブに思っているわけではありません。

 車内設備などについては「それが普通」の時代でしたし、今回、「令和の新宮夜行」で和歌山駅を午前1時に発車したのち、初島駅付近でやや下のほうに見えたコンビナートの夜景に、かつて「銀河鉄道」のようだと感じたことを思い出し懐かしむなど、「新旧新宮夜行の時間旅行」を楽しむことができました。そして昭和から令和、「鉄道旅行の進化」を感じることができました。

最終更新日:7/17(土)22:40 乗りものニュース

引用:https://news.yahoo.co.jp/pickup/6399010

その他の新着トピック