酒類の販売事業者に一部飲食店との取引停止を求めた「西村発言」はわずか5日で撤回されることになった。「まるでどう喝のよう。撤回は当然」「やり方に問題があった」。政府が要請を取り下げた13日、福岡県内の事業者や飲食店からは怒りや戸惑いの声が上がった。
「世論の反発が高まり、撤回せざるを得なかったのだろう」。福岡市博多区の酒類販売会社部長、落合直樹さん(55)はこの数日を振り返った。酒の提供を続ける飲食店を「懲らしめる」ために、自分たち事業者が使われたように感じた。「危険な発想だと思う。それよりも、新型コロナウイルスの感染収束に向けた具体的な道のりを示してほしい」
「政府による公然のどう喝に近い。撤回して当然だ」。同市中央区のレストラン店長、徳山圭さん(35)は憤る。店は4月末からの緊急事態宣言やまん延防止等重点措置に基づく休業・時短要請に応じていない。自身がコロナ禍で一度職を失っており「従業員に同じ苦しみを味わわせたくない」との一心だった。店には営業継続に対する匿名の脅迫や無言電話が相次ぐ。
最終更新日:7/14(水)12:34 西日本新聞