熱海の旅館 かなりのキャンセル

静岡県熱海市伊豆山(いずさん)地区で起きた土石流災害の影響で、全国有数の温泉地・熱海の観光業も打撃を受けている。ホテルや旅館にはキャンセルが相次ぎ、商店街も人影はまばら。土石流の被害は伊豆山地区の一部にとどまっているものの、観光への影響は市内の他の地域にも広がっているといい、観光業者などから懸念する声が出ている。



 市内にある創業数十年の旅館には、土石流が起きた3日以降、客から続々とキャンセルの連絡が入った。7月中旬まで週末は満室になるほど予約が入っていたのに、3分の1ほどがキャンセルされた。新型コロナウイルス感染拡大の影響で落ち込んでいた客足に回復の兆しが見え始め、夏の書き入れ時も控えていただけに、担当者は「夏休みシーズンを前に冷や水を浴びせられたようだ」と嘆く。

 JR熱海駅前の商店街も閑散としている。干物店「あをきのひもの」の女性店員は「普段は一番人出の多い夕方も、完全にお客がいない」とため息をついた。新型コロナの影響で昨年から観光客の姿は少なかったが、ワクチン接種を終えたとみられる高齢者らを中心に客足が回復してきたところだったという。「人が減ったままになるのではないかと心配。せめて(土砂の撤去作業で通行止めとなっている)国道が再開してくれれば」と願った。

 熱海商工会議所によると、市内では昨年春に観光客が激減。旅行需要喚起策「GoToトラベル」で上向いたものの、首都圏で緊急事態宣言が出された年始に再び減った。静岡県では東京オリンピック・パラリンピックの自転車競技の開催も決まっており、ワクチン接種も進む今夏は人出が増えると期待されていた。だが五輪期間中は東京都に緊急事態宣言が出される見通しが強まり、観光に再び影響が出る恐れもある。

 熱海商議所の阿部博文事務局長は「明るさが見えてきたのにまた止まってしまった。土砂災害の起点にあった盛り土が注目されているが、原因が解明されないと観光客はリスクを感じるところを避けてしまう」と話す。斉藤栄熱海市長も8日の記者会見で「災害発生から市内でかなりの宿泊キャンセルが出ている。土石流は伊豆山地区のごく一部のエリア。今回の被災地が伊豆山の一部に限られ熱海市全体ではないということを情報提供してほしい」と話した。【五十嵐朋子、長沢英次】

最終更新日:7/8(木)21:53 毎日新聞

引用:https://news.yahoo.co.jp/pickup/6398158

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