外食大手ワタミの渡辺美樹会長は8日、「お酒だけが原因とされ、我々だけがずっと犠牲になっている」と述べ、政府の対応に強い不満を表明した。酒類提供の停止だけでなく「徹底したロックダウン(都市封鎖)の形を取ってほしい」とも述べ、人出が減らない中で酒類提供が制限されることに苦言を呈した。
東京都内で開いた、持ち帰り中心のから揚げ専門店「から揚げの天才」の拡大戦略に関する発表会で発言した。
政府は緊急事態宣言の発令地域で飲食店に酒類提供の停止を求める。午後7時まで酒類提供を認めていた「まん延防止等重点措置」の適用地域でも「原則停止」とする。これらの地域で展開する居酒屋などには制約が強まることになる。
ワタミは国内に外食店舗438店を展開し、まん延防止措置の適用地域を中心に8日現在、居酒屋90店が休業中。このうち緊急事態宣言が発令される東京都では、休業規模を現在の36店から70店に拡大する。
かつて自民党の参院議員でもあった渡辺氏の怒りの矛先は、国会議員にも向けられた。飲食店業界が協力金の支給の遅れによって資金繰りに窮していることを踏まえ、「(協力金を担保にするなどして)融資を受けられる制度をつくるとかすればいい。国会を休んでいる場合じゃない」と批判した。
政府は新たな感染防止策として、飲食店が適切に感染対策をしているかを利用客がグルメサイトを通じて報告する仕組みの導入を検討しているが、「まったくナンセンスだ」と一蹴。「『密告制度』をつくるより、協力金の前払いや罰金の引き上げなど、みんなが守れるルールをつくるべきだ」と持論を展開した。【松山文音】
最終更新日:7/8(木)22:26 毎日新聞