オデッセイなぜ生産終了 背景は

ホンダの人気のミニバンである「オデッセイ」が、生産終了となることが明らかになった。昨年11月に大規模なマイナーチェンジを実施したにもかかわらず、である。



 主な理由は、オデッセイを生産していた狭山工場がなくなることだ。正確には狭山と寄居の2つの工場を、寄居に集約させることにある。

 しかし、実質的には狭山工場の閉鎖であり、これにあわせて同工場で生産されていたオデッセイだけでなく「レジェンド」「クラリティ」も同様に生産終了となるようだ。とはいえ、同じ狭山工場で生産されていた「ステップワゴン」が継続されることを考えれば、オデッセイは、そのモデルライフを終えることになる。

ところが、この状況に困ったのがホンダだ。当時のホンダには、ミニバンを作ることのできる生産ラインがなかったのだ。

 ホンダとしては、なんとかこのブームの波に乗りたい。しかし、生産ラインを一から立ち上げていては時間がかかる。そこで苦肉の策として、乗用車の生産ラインを使ってミニバンを作ることになった。それが初代オデッセイであった。

 初代オデッセイは、1650mm程度の低い全高にスライドドアではなくヒンジドアの5ドアを備えていたことが特徴で、“背の低いミニバン”というよりも、“背の高い3列シートの乗用車”というクルマであったが、これは乗用車の生産ラインを流用する都合で生まれた形だったのだ。

しかし、オデッセイには、そんな商用バンのイメージは微塵もなく、落ち着いたセダンのような雰囲気を感じさせた。これが、成功の大きな理由であったのだろう。

 1999年には第2世代のオデッセイが登場する。

 しかし、2001年は9位、2002年は22位と順位は徐々に下落していった。これは強力なライバルが多数、誕生したのが理由だ。

■ミニバン市場のヒートアップ

 最大の敵は、なんと身内から現れた。ホンダは2000年に初代「ストリーム」を投入する。5ナンバーの5ドアハッチバックに3列シートを詰め込んだ、言ってしまえばオデッセイの小型版だ。これが売れに売れた。なんと2001年の年間販売ランキングで3位になっている。もちろんミニバン最上位だ。

現行型となる第5世代では「背の低い」「5ドア」という個性を捨て、背の高い&スライドドアのミニバンへと変化。ホンダのエリシオンが生産終了となったこともあり、その役割をオデッセイが引き継ぐことも、狙いだったのだろう。

 しかし、一度、失った勢いを取り戻すのは難しかった。結局、オデッセイの販売は上向きにならず、「2020年末をもって生産終了」という結末となったのだ。

 オデッセイを振り返ってみたとき、このクルマが果たした役割は何だったのだろうか。個人的に思うのは、オデッセイに一貫する「商用車ではないミニバン」というイメージの重要さだ。

最終更新日:7/2(金)13:59 東洋経済オンライン

引用:https://news.yahoo.co.jp/pickup/6397604

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