都財政ひっ迫 五輪追加負担懸念

新型コロナウイルスの感染拡大の対応に追われる東京都で、財政の逼迫(ひっぱく)が続いている。都の貯金に当たる「財政調整基金」は一時、20億円まで落ち込み、今後は東京オリンピック・パラリンピックの追加費用負担も予想される。7月4日投開票の東京都議選では一部の党から「都有資産売却で財源の確保を」といった声も上がっており、厳しい局面が続きそうだ。



 「財政調整基金は大変、不如意な(苦しい)状況になっている。とはいえコロナ対策に必要な資金を、必要な時に支出していくことが不可欠だ」。小池百合子知事は5月の定例記者会見で都の苦しい懐事情に言及した。

 都はこれまで新型コロナ対策に4兆7800億円を投じており、国負担を除いた都の負担は1兆6300億円に上る。都は同基金を取り崩しながら対応し、残高は昨年3月末時点の9345億円から今年5月末で20億円に減った。これは、都が財政危機にあった1990年代後半と同水準。現在は2742億円まで回復したものの、先行きを楽観できない状況が続いている。

 今後の財政状況が読めないのは、新型コロナの感染動向が見通せないためだ。飲食店への営業時間短縮要請などが続けば、その分だけ支出は増える。都幹部は「感染が再拡大すれば対策費はさらに膨れ上がり、収束しても中小企業支援や産業振興は必要だ。財政支出は当面続く」と指摘する。景気悪化による都税収入の落ち込みも予想される。

 東京五輪の追加費用負担も必要になる可能性が高い。都は既に大会経費に1兆4500億円を投じているが、観客数に上限を設ける方針が決まったことで、約900億円と見込まれていたチケット収入の減少が予想され、都の追加負担が生じる見通しだ。都が競技会場として整備した6施設は、有明アリーナ(江東区)以外は年間の維持費が赤字になる見通しで、大会後の出費も懸念される。

 都議選でも、一部の党が特定の目的で積み立てている他の基金の取り崩し、都有資産の売却などで財源を確保すると主張している。都幹部は「事業内容の見直しや都債の発行などで何とか予算を捻出して対応していきたい」と話している。【斎川瞳】

最終更新日:6/30(水)12:42 毎日新聞

引用:https://news.yahoo.co.jp/pickup/6397408

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