東日本大震災の復興事業に絡み、下請け業者から私的に得るなどした所得約2億2千万円を申告せずに脱税したとして、仙台国税局は28日、大手ゼネコン「鹿島」(本社・東京)東北支店の宮本卓郎・元営業部長(54)を所得税法違反容疑で仙台地検に告発したと発表した。告発は25日付。
宮本元部長は地検の任意聴取に容疑を認めており、地検は近く在宅起訴する見通し。
同局などによると、宮本元部長は2017、18年の2年間、鹿島JV(共同企業体)が環境省から受注した東京電力福島第一原発事故後の原子力災害対策の工事に絡んで、複数の下請け業者から現金を受け取り、計約2億2千万円の所得を申告せず、約8300万円を脱税した疑いがある。
宮本元部長は16~18年、福島県富岡町の建物解体工事の現場所長を務めており、関係者によると、これらの業者をJVの1次下請けに自ら選んでいたという。この工事費は約107億円で、受け取った現金は、高級外車の購入や海外旅行、キャバクラでの飲食などに充てたという。
鹿島は昨年12月、社内調査の結果、下請け業者から過剰な接待を受けていたなどとして、宮本元部長を懲戒解雇処分にした。朝日新聞の取材に対し、宮本元部長は「脱税容疑を認め、一部はすでに修正申告している」と話している。
鹿島は「このような事象が発生したことは誠に遺憾。社員教育を改めて徹底するなど再発防止に努める」としている。(三井新)
最終更新日:6/28(月)21:31 朝日新聞デジタル