text:Wataru Shimizudani(清水谷 渉)
6月24日。ホンダは、2021年秋に発売予定の新型シビックを、オンラインで世界初公開した。
今回のモデルで11代目となるシビックは、ホンダを代表する車種の1つだ。
初代のデビューが1972年だから、来年の2022年はシビック生誕50周年にあたる。初代から7代目までは世界のベーシックカー的なモデルだったが、8代目以降はホンダを象徴するミドルクラスのモデルとなった。
現行型の10代目までで、シビックは世界の170を超える国と地域で、累計2700万台以上(2020年時点)を販売している。現行型も世界の10工場で5モデル(ハッチバック、セダン、クーペ、タイプR、Si=北米専用)が生産され、2020年の年間販売台数は68万台に達している。
なお、日本では現行型セダンの生産を2020年に終了。また、現行型タイプRなどを生産しているイギリス工場は2021年7月に閉鎖予定で、新型シビックの日本仕様は日本製となる。
その新型シビックのグランドコンセプトは「爽快シビック」。親しみやすさと特別な存在感を併せ持ち、乗る人全員が「爽快」になることのできるクルマを目指したという。
そんな「爽快シビック」の発売は今秋の予定のため、まだ詳細なスペックや装備、車両価格などは発表されていない。だが、エクステリア、インテリア、ダイナミクス性能の進化点などが発表されたので、その概要を紹介していこう。
インテリアは“爽快な朝”をテーマに、「すっきりとノイズレスな骨格とサーフェス」「気持ちに沿った使い勝手・導線」「感性に響く触感・フィードバック」を柱として開発された。
水平基調のインテリアはガラスエリアもスクエア。
「骨格とサーフェス」では、インパネの造形は窓の映り込みや落ちる影まで考慮した構造とし、パンチングメタルによるアウトレットメッシュは内部の構造を隠して価値観を高めている。
「使い勝手と導線」では、上下の目線移動を抑えた表示や、ドライバー側に5°傾けたシフトレバーやサイズを選ばないカップホルダーなど、運転席まわりの自然に使える機能操作を重視。
「触感・フィードバック」では、ドアインナーハンドルやインパネのスイッチなどは操作方法に合わせた形状とし、アームレストなどは表面処理/形状の一貫性を追求した。
現行型より延長されたホイールベースで室内の居住性は向上し、とくにリアシートは現行型と同等のヘッドクリアランスを確保しながら、スポイラー部分で50mmルーフボリュームを低減。
ラゲッジスペースは、後席の使用時でも446(EX)~452(LX)Lを確保した。
現在のところ、新型シビックに搭載されると発表されたパワートレインは、1.5LのVTECターボのみだ。
最高出力は182ps/6000rpm、最大トルクは24.5kg-m/1700-4500rpm。この数値は現行型の6速MT仕様に搭載されているものと同じだが、発生回転数が異なる(現行型は最高出力5500rpm/最大トルク1900-5000rpm)。
組み合わされるトランスミッションは、現行型と同様にCVTと6速MTを設定。
トルクオンデマンド制御の最適化や高効率ターボチャージャー&低圧損過給配置などにより、とくにCVT仕様では常用域である2000rpm弱から最大トルクが2kg-mも増した。ステアリングにはパドルシフトも備えている。
またCVT仕様にはドライブモードも設定され、シフトレバー脇のトグルスイッチで「ECON」「NORMAL」「SPORT」を切り替え、走行シーン・燃費などに応じて使い分けられる。
注目の6速MT仕様は、ショートストローク/高剛性を両立したシフトフィールや、ワイドレンジ・ギアレシオによる加速性能・燃費の両立で、操るよろこびを味わわせてくれるという。
なお、パワートレインについて冒頭に“現在のところ”と記したが、2022年には「タイプR」とハイブリッドの「e:HEV」も登場する予定だ。
最終更新日:6/24(木)14:10 AUTOCAR JAPAN