―[あの企業の意外なミライ]―
いま、小売業の世界は、総合スーパー、モール、スーパーマーケット、コンビニエンスストアなど異業種での競争が激化しています。ここで、情報を整理しておきます。
イトーヨーカ堂のような総合スーパーは、日常生活で必要な物を総合的に扱う、大衆向けの大規模な小売業態であり、「ゼネラルマーチャンダイズストア(GMS)」と呼ばれます。
一方、イオンモールに代表される、モールは不動産業です。
不動産業の中でも特に「ディベロッパー」に分類されます。商業施設を「イオンモール」として作り、そこへの出店料で儲けるビジネスモデルです。このイオンモールにイオンの小売店も出店しているわけです。ディベロッパーで儲かる上に、さらに顧客も集客できるのがイオンの強みです。
ほとんどのイオンモールは、イオンモール株式会社が運営・管理をしています。
イオンモール株式会社はショッピングセンターを開発・運営している会社であり、その中に「核テナント」として入っているのがイオン。ちなみに、イオン株式会社はイオンモール株式会社の株を約58%持っています。
話を戻します。
イオンは総合スーパーの「イオン」、スーパーマーケットの「マックスバリュ」、ディベロッパーの「イオンモール」などを持っており、これにイトーヨーカ堂が押される形で閉店を余儀なくされると考えられます。この状況、勝ち目はあるでしょうか。
こうした状況下でイトーヨーカ堂が取るべき策は、都市部に経営資源を集中させ、弱い地方は撤退するか、または資本関係を持つパートナーに運営を任せる方法です。しかし、地方店を「分社化」する計画も、全てが上手くいくわけではありません。
仮に閉店したイトーヨーカ堂旧店舗を地元のスーパーに譲ったとします。が、もともと食品を中心に取り扱っていたスーパーは、ヨーカドーのような総合スーパーの店舗面積は大きすぎて、運営が手に負えない。
結果、「大きすぎて入れない」といった事例が出ています。もちろん、イオンモールのような大規模モールにできるほどイトーヨーカ堂の店舗は大きくありません。
ここまでイトーヨーカ堂の現状について振り返ってきました。最後に、同社の「復活のカギ」について話をまとめます。
イトーヨーカ堂の店舗改革の鍵は以下の三つです。
1:ライフスタイル売り場の大胆な減積
2:食をテーマにしたゾーニング
3:大型テナントを上層階に誘致
まずは一点目。ライフスタイル売り場とは、衣料品コーナーのことです。昔、お母さんが「イトーヨーカ堂でトレーナーを買ってきた」ということがありませんでしたか?
「この新しい下着、どこの?」と聞くと「ヨーカドーで安かったから買ってきたわよ」というアレです。実は、イトーヨーカ堂は衣料品が祖業であり「衣料のヨーカ堂」と長く言われてきました。
しかし、その自社のアイデンティティとも言える部門が足を引っ張っていたのです。結果、同社はこのライフスタイル売り場を大幅に減積する決断を下しました。
最終更新日:6/14(月)11:04 週刊SPA!