需要高まる中古住宅 覆る定説

中高年の中には、若かりし頃に「いずれ新築のマイホームを持ちたい」と夢を抱き、実現した人も多いはず。しかし近年、いわゆる“新築至上主義”が崩壊しつつあり、中古物件に目を向ける人が増えているという。令和の住宅事情に迫る。(清談社 真島加代)



● 首都圏を中心に ニーズが高い中古マンション

 「夢のマイホーム」と聞くと、多くの中高年が新築の戸建てや新築マンションをイメージするだろう。しかし今、住宅市場は大きな転換期を迎えているという。

 「地方と首都圏では傾向に違いがあるとは思いますが、中古も新築も住宅市場全体の需要が高まっています。なかでも、首都圏の中古マンション市場は伸び続けています」

 そう話すのは、中古・リノベーション住宅の流通プラットフォーム「cowcamo(カウカモ)」を提供する株式会社ツクルバの事業部長・春田亮一氏。

 「2016年に首都圏の中古マンションの成約数が新築マンションの成約数を上回って以降、中古マンションのニーズが高まっています(*)。新築と中古が逆転した要因のひとつは、新築マンションを建てるために必要な面積(用地ストック)が少なくなり、新築の価格が上がったこと。新築のマーケットが高騰した結果、中古物件にユーザーが流れています」
(*)…「首都圏不動産流通市場の動向(2020年度)」公益財団法人東日本不動産流通機構

「かつては、中古に対するイメージもあまりよくありませんでした。中古住宅は、新築のように建物のスペックが明かされていなかったり、中古は『新築が買えない人が買うものだ』という風潮があったり、前にどんな人が住んでいたかなど不透明な部分が多かったので、不安を抱くケースもありました。時代背景や中古に対するイメージなど、さまざまな理由が絡み合って新築信仰が定着したようです」

 しかし、時が流れると新築至上主義時代に建てられた物件が“優良な中古住宅”となって再び市場に戻ってきているという。

 「リーマンショック前まで、新築マンションは建物のクオリティーで勝負をしていました。そのため、築15年ほどのマンションはとても高品質です。最近は一般社団法人リノベーション協議会がより築年数が古いマンションにも専門家のインスペクション(建物検査)を入れ始めています。専門家によって品質が確認された中古マンションが市場に増えれば、今後より中古マンションの取引が加速すると考えられます」

 春田氏は、現在の住宅市場について「ユーザーの選択肢が増えたと捉えている」と語る。

 「もちろん新築志向のユーザーも一定数います。新築神話の崩壊というよりは、これまで新築に一極集中していたニーズが、中古住宅にも分散された印象です。また近年は、フリマアプリが人気を博していることから“中古そのもの”に対する抵抗感も薄れてきています。当社のユーザーからも『住んだ場合のメリットとデメリットが事前にわかれば、中古でも気にならない』と話す方も多いです」

● 「中古リノベ物件は売れない」 という定説が覆りつつある

 住宅の選択肢の広がりはニーズの多様化にもつながっている。特に中古住宅の希望者は“自分らしさ”を求める傾向があるという。

最終更新日:6/11(金)20:31 ダイヤモンド・オンライン

引用:https://news.yahoo.co.jp/pickup/6395813

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