人気マンガ『鬼滅の刃』のキャラクター3人が着ている服の模様が、6月3日付けで商標登録された。版元の集英社が2020年に6人分の模様を特許庁に商標出願していた。登録されたのは、このうち冨岡義勇(とみおか・ぎゆう)、胡蝶しのぶ、煉獄杏寿郎(れんごく・きょうじゅろう)が着ている羽織の柄だ。
商標の範囲はスマホ用カバー、ゲームソフト、衣類やタオルなど多岐に渡っている。今後は、こうした商品で3つの模様を集英社に無断で使った場合、商標権侵害に問われる可能性がある。
その一方、主人公である竈門炭治郎(かまど・たんじろう)と禰豆子の兄妹、それに我妻善逸の3人が着ている服の模様に関しては「審査中」の状態だが、商標登録できないことを伝える「拒絶理由通知書」が5月26日付けで特許庁から出された。
書面発送から40日以内に集英社が意見書を提出すれば、再審査となるため、集英社の対応が注目される。【安藤健二・ハフポスト日本版】
今回、煉獄杏寿郎ら3人の柄が商標登録できた一方で、竈門炭治郎ら3人の柄に「拒絶理由通知」が出たのはなぜだろうか。
知的財産権に詳しい東北大学特任准教授の稲穂健市氏は、ハフポスト日本版の取材に「識別力の違い」と回答した。
「竈門炭治郎ら3人の羽織の柄は、全体として、装飾的な地模様として認識されるにとどまり、かつ、その構成中に自他商品の識別力を有する部分を見出すこともできないという理由から拒絶されています。それを考えますと、煉獄杏寿郎ら『柱』3人の羽織の柄は、特徴的な部分があるなどの理由により識別力を有すると判断されたのでしょう。確かにそれぞれの柄には『柱』の特徴が表れています。拒絶された3点については、集英社が今後、意見書で反論するかどうかが焦点になると思います
「ただ、『市松模様』は江戸時代から、『麻の葉柄』は平安時代から使われていたことを示す参考情報も拒絶理由通知書に書かれており、識別性を主張できる部分は相当限られるのではないでしょうか。専門家によっても見解は異なりますが、私個人としては登録は難しいのではないかと思います。もっとも、長期間使用して識別力を獲得した場合はその限りではありません。商標権は更新によって半永久的に権利を維持することが可能なため、その点でも登録には慎重になるべきではないかと思います」
最終更新日:6/10(木)19:25 ハフポスト日本版