音楽・映像事業を手がけるエイベックスが東京・南青山の本社ビルを売却する方針を固めたことが、東洋経済の取材で明らかになった。
売却の対象となったのは、2017年12月に開業した地上18階建ての「エイベックスビル」。複数の関係者によれば、外資系ファンドを含む複数社を対象に入札を実施し、カナダの不動産ファンドのベントール・グリーンオークが優先交渉権を得たもようだ。
エイベックスはコロナ禍で主力のライブ事業やグッズ・音楽CD販売が低迷し、2020年4~9月決算では32億円の純損失を計上した。11月5日には同社初となる希望退職に踏み切ることを発表し、今年12月中に100人程度の退職者を募集する。虎の子である本社ビルの売却は、業績不振を受けて金融機関が主導したと見られる。
燃料商社のシナネンホールディングスも、11月9日に品川区内の土地を売却すると発表。こちらも資産効率の向上および財務体質の改善を理由に挙げる。売却先は非公表だが、オフィスとマンションの開発用地となる予定で、シナネンHDはオフィス棟を賃借し本社として使用する。
■海外投資家も日本の不動産に照準
通常、景気後退局面では不動産市況が落ち込むため、売却価格も相場より割安になりがちだ。ところが、足元では不動産に対する金融機関の融資姿勢に大きな変化がなく、海外投資家もコロナ禍の影響が相対的に軽微だった日本の不動産に照準を定めているため、買い叩かれる気配がない。
最終更新日:11/10(火)17:31 東洋経済オンライン