経験ない価格 木材高騰に危機感

「ウッドショック」と呼ばれる世界的な木材不足の影響が福島県内の住宅建築現場にも広がっている。輸入材が減った影響で県産材の価格が高騰し、品薄状態で工期が遅れるなどの影響が出ている。新型コロナウイルス感染拡大で米国や中国などで戸建て住宅への関心が高まり、木材需要が増大しているのが背景にある。資材高騰を販売価格に転嫁できない住宅メーカーは収益悪化を懸念し、県民も価格が上がるのに戸惑いの声を上げる。

 「このままの状態が続くと住宅の需要が冷え込むのでは」。矢祭町の押田製材所社長の押田洋平さん(42)は、空きが目立つ木材置き場を見つめ、不安を口にした。

 県南地方は林業が盛んで、県産材を多く扱っている。4月ごろから輸入材が激減し、県産材の入札価格が高騰して仕入れが難しくなってきた。スギの柱材の価格は長さ約3メートルのもので通常一本3千円前後だが、現在は約2倍の一本6千~7千円ほどにまで上がっている。

県内の住宅着工件数は減少傾向にあるものの、建築場所によっては売れ行きは好調だ。宅地開発などを手掛ける福島市の不動産業ユニオンリングによると、市内五十辺の住宅分譲地54区画は販売して間もなく、ほぼ完売した。今年度は新たに市内と伊達市に約300区画の宅地造成を予定している。

 福島市の30代の会社員男性は住宅購入を決め、5月に大手ハウスメーカーと契約を結んだ。価格高騰で迷いもあったが、子どもが産まれることや住宅ローン減税の改正で今後、メリットが減ると考えて決意した。「想像以上に住宅の値段は上がっている」と驚きを隠さない。

 国土交通省の建築着工統計調査によると、福島県内の住宅着工件数はここ数年、減少している。2020(令和2)年は9868戸で前年の11043戸に比べ1175戸(10・6%)減少した。2019年は前年に比べ13・5%、2018(平成30)年は同13・2%それぞれ減った。

※ウッドショック 世界的な木材の供給不足で価格が高騰した状況。新型コロナウイルス感染拡大の影響で米国を中心に庭などプライベート空間のある戸建て住宅需要が増大している。世界的な巣ごもり需要の拡大で、インターネットショッピングで家電や日用品などを国外から購入する人が増加。輸送に用いるコンテナ不足が輸送量の減少や高騰に影響している。

最終更新日:6/6(日)1:01 福島民報

引用:https://news.yahoo.co.jp/pickup/6395271

その他の新着トピック