JR西 線路の落下物に切り札導入

駅ホームからの落とし物を素早く拾い上げるため、JR西日本が落下物回収用具の最新型を開発・導入した。棒の先に粘着板や磁石を取り付け、小さくて回収が難しいワイヤレスイヤホンなども拾いやすくなる。JR西は「回収に1分もかからない」と自信を見せており、鉄道の定時運行を守る切り札として期待される。



 回収用具は、通称「缶キャッチャー」と呼ばれる。最新型は、伸ばした時の長さが約2・4メートル、重さ約860グラムのグラスファイバー製。従来のマジックハンド機能に加え、ICカードやスマートフォンといった薄い物を拾うための粘着板▽ワイヤレスイヤホンを回収するための磁石▽カバンやハイヒールを引っかけるためのフック▽夜間時に使うライト――を新たに装備した。

 開発の背景には、落下物の多様化がある。特に、耳栓のような形をしたワイヤレスイヤホンは落下しやすいうえ、砕石の隙間(すきま)に入り込むと拾うのが難しい。一方、価格が数万円するものもあるなど高価なため、乗客からの回収依頼が増加傾向にある。ワイヤレスイヤホンの落下は2021年4月の1カ月間で、過去最多の計1323件に上った。JR西の鉄道本部は「回収作業のタイミングは運転指令所と調整するので、ダイヤへの影響はほとんどない」というが、現場からは対策を求める声が強かった。

 最新型の回収用具は駅業務部などがメーカーと共同研究を始め、19年11月に試作品を完成。レールや車両にくっつかないように磁力のバランスを検証し、21年5月から大阪、天王寺など計109駅で本格運用をスタートさせた。駅業務部は「これまでにない回収用具を作ることができた。落とし物をした場合は決して線路内に下りず、近くの駅員に連絡を」と呼び掛けている。【高橋昌紀】

最終更新日:6/3(木)11:44 毎日新聞

引用:https://news.yahoo.co.jp/pickup/6395059

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