ゴーン被告 仏の聴取応じる意向

【ベイルート】日産自動車の元会長、カルロス・ゴーン被告(67)は、逃亡先であるレバノンでの生活に満足していると述べ、仏自動車大手ルノーのトップとして受け取った報酬に関し、来週にもフランス当局から聴取を受けることについて準備が整っているとした。

 ゴーン氏は、日産のトップとして不正に関わった疑惑を巡り日本での裁判が予定されていたが、2019年末に音響機器を収納する箱の中に隠れて逃亡した。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)とのインタビューで、これまで弁護士らと数時間にもおよぶ協議を続け、フランス当局による任意での聴取に向け準備を進めてきたと明らかにした。

 ベイルートのホテルでインタビューに応じたゴーン氏は、「このことを楽しみにしてきた」とし、「もっと早く来てほしかったぐらいだ」とも発言。同氏は日本とフランス両国で不正に関与したことを否定している。

 ゴーン氏は少年時代を過ごしたレバノンにある住居に1年半以上とどまっていることについて、後悔はしていないと述べた。現地では反論の準備を進めている他、地元の大学でビジネスコースを週に1回主催。また、ベイルート近くの山で友人らとハイキングしたり、オンラインでブリッジのゲームを楽しんだりしているという。

 ゴーン氏は、日本を脱出した理由について、公平な裁判を受けられると思わなかったためだとこれまで述べ続けてきた。現在、フランスでも公平な審問を受けられるか確実ではないと話している。フランス当局は捜査の過程で、ゴーン氏が夫人と共に保有している数百万ドルの資産を差し押さえている。

 ゴーン氏の弁護士らによれば、日本の捜査当局が主張している疑惑や日産およびルノーを退社したこと、また日本から逃亡したことなどに関連し、同氏は二十数件以上の訴訟や捜査を受けている。

 ゴーン氏は、それ以前の生活すべてを諦め日本から逃亡したことについて後悔していないとし、「もう1つの人生は失ったが、自由を手にできた」と述べた。さらに「(あのままいたら)日本で死んでいただろう」とし、「もう終わりだった」とも語った。日本の当局はゴーン氏に対し、とどまっていれば公平な裁判を受けられたはずだと主張している。

 日本では来月から、ゴーン氏の国外逃亡を手助けした米国人2人の裁判が始まる。また、日産時代に側近だったグレッグ・ケリー被告は、ゴーン氏による報酬の隠蔽(いんぺい)を支援した容疑で裁判中。同被告は容疑を否定している。

 ゴーン氏は、ケリー被告が不当な訴追を日本で受けているとした上で、ケリー被告の争いが長引いていることもまた、自らが日本から逃亡した判断を正当化できる理由の1つだと述べた。

最終更新日:5/25(火)9:27 ウォール・ストリート・ジャーナル日本版

引用:https://news.yahoo.co.jp/pickup/6394280

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